18年度改正はどのように進められますか?

引き続き、地域包括ケアの構築に注力します。

 2018年度の制度改正では、地域包括ケアシステムの構築をさらに進めるため、様々なサービスが創設・強化されました。具体的には、中重度の要介護者に向けた医療サービスの提供と介護との連携体制、認知症患者への対応強化、介護療養型医療施設に代わる介護医療院の創設などです。またケアマネジメントの質を向上させるため、居宅介護支援の管理者要件やケアマネジャーの研修制度が変更されています。自立支援や重度化防止に向けて強化されているのが、リハビリテーションです。医師の関与や医療機関との連携、訪問介護との連携やアウトカム評価の導入など、リハビリテーションの実施を「結果=自立や重度化防止」につなげる施策が採られています

 

人財確保と生産性向上、サービス適正化にも力を入れます。

 介護現場の深刻な人手不足を解消するために、現在2つのアプローチがなされています。人材確保に向けては、生活援助の担い手の視野を広げつつ、見守り機器の導入が図られました。一方生産性向上では、ICT活用によるペーパーレス化、ぺレーター要件の緩和、運営推進会議や要介護認定の業務簡素化などを行っています。

 また増え続ける介護給付を抑えるため、サービスごとの介護報酬や加算が変更されました。特に給付額の伸びが著しい通所サービスは、基本報酬だけでなくサービス提供時間も見直されています。これまで価格設定の根拠が不明瞭だった福祉用具貸与については、価格情報の提供と上限設定が義務づけられました。

基本報酬や処遇改善化案はどう変わりましたか?

18年度は6年ぶりのプラス改訂です。

 第7紀の介護保険事業計画は、介護報酬改定率が+0.54%で、介護離職ゼロや介護人材確保に向けて6年ぶりのプラス改定となりました。

 サービス別にみると、基本報酬が上がったのは居宅介護支援や居宅療養管理指導、短期入所介護や医療機関による訪問介護などで、リハビリテーションマネジメント加算や生活機能向上連携加算といった加算項目も増えています。一方、下げ幅が大きいのは、生活支援中心型の訪問介護や大規模型の通所介護、介護予防訪問看護や介護予防通所リハビリテーション、集合住宅入居者に対する居宅サービスです。前回同様、全体に軽度要介護者に対するサービスの基本報酬が引き下げられています。

 

新たな処遇改善加算が創設されています。

 介護人材確保の対策の一環として、第6紀の途中である2017年度には、介護福祉士の配置やキャリア整備が評価につながるサービス提供体制強化加算が拡大されました(介護職員処遇改善加算)。加算(Ⅰ)の適応には、任用や賃金体系と就業規則の整備・周知を定めたキャリアパス要件Ⅰ、資質向上と能力評価の取り組みと資格取得の支援と定めたキャリアパス要件Ⅱ、経験・資格あるいは一定基準などに基づき昇給する仕組みを定めたキャリアパス要件Ⅲ、賃金改善以外の処遇改善と改善費用の周知などの職場環境等要件を満たす必要があります。今回の改正で新たに追加された加算(Ⅰ)を満たすと、介護報酬に月額1万円相当分が上積みされることになります。