ほとんどの介護サービスが対象となる新たな減算『業務継続計画未策定減算』を解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
2024年度の介護報酬改定では、『 業務継続計画未策定減算 』と『 高齢者虐待防止措置未実施減算 』が新設されました。
介護事業所を運営するうえで『減算』が多くなれば、経営的にかなりの痛手です。そのため、事業所は減算にならないように対応していく必要があります。
そこで今回は『 業務継続計画未策定減算 』について解説していきます。
・業務継続計画未策定減算とは
感染症や災害の発生時に継続的にサービス提供できる体制を構築するため、業務継続計画が未策定の際は、基本報酬を減算する |
厚生労働省『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』より |
業務継続計画未策定減算は、居宅療養管理指導と特定福祉用具販売を除く全サービスが対象です。減算の内容は以下の通りです。
【 算定要件 】
感染症もしくは災害のいずれかまたは両方の業務継続計画が策定されていない場合
【 単位数 】
施設・居宅系サービス → 所定単位数の100分の3 (=3%)に相当する単位数を減算
その他サービス → 所定単位数の100分の1 (=1%)に相当する単位数を減算
【 経過措置期間:1年 (令和7年3月31日まで) 】
①感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合
②訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援
業務継続計画は、介護サービスや障がい福祉サービスに限定されて求められているものではありません。
一般的には『 事業継続計画(Business Continuity Plan=BCP) 』と呼ばれ、内閣府では2005年から企業などに向けてBCP策定を強く推奨しています。
事業継続計画(BCP)とは―― |
企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画 |
これは単なる防災対策とは異なるものです。
中小企業庁のホームページによると、緊急事態が発生した際、企業の操業率が大きく落ちます。
事業継続計画(BCP)を導入していると、一部の事業が維持できたり、早期復旧ができたりします。しかし何の備えもしていない企業は、事業縮小を余儀なくされたり、廃業に追い込まれたりするおそれがでてきます。
厚生労働省では、介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修動画が掲載されています。業務継続ガイドラインも掲載されているので、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
*厚生労働省:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
いかがでしたか? 新設される減算は対象サービスの限定や、経過措置期間が設けられているものの、令和7年3月31日までには業務継続計画の策定が必要です。
そして、介護保険法と介護報酬の改定は、3年に1度のペースで行われます。
日々の業務と並行しながら新たな制度に対応するとなると、事業所職員にとって大きな負担になるはずです。
弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連への請求事務を代行する会社です。それだけではなく、実際に介護事業所を運営しておりますので、その経験を基に然るべき対策についてレクチャーを行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
次回は、もう一つの新たな減算である『 高齢者虐待防止措置未実施減算 』について解説します。
→2024年度介護報酬改定で新設『高齢者虐待防止措置未実施減算』とは?
*過去記事
・2024年度介護報酬改定 訪問介護と通所介護の複合型サービスとは?
・2024年度介護報酬改定 一本化する「介護職員等処遇改善加算」とは?
《 記事原案者 》 | |
鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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《 記事加筆編集者 》 | |
北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |