ほとんどの介護サービスが対象となる新たな減算『高齢者虐待防止措置未実施減算』を解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
前回は、2024年度介護報酬改定で新設された『 業務継続計画未策定減算 』を解説しました。
今回は同じく新設された『 高齢者虐待防止措置未実施減算 』について解説します。この減算も、居宅療養管理指導と特定福祉用具販売を除くすべての介護サービスが対象です。
*前回の内容:2024年度介護報酬改定で新設『業務継続計画未設定減算』とは?
・高齢者虐待防止措置未実施減算とは
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、虐待の発生又はその再発を防止するための措置が講じられていない場合に、基本報酬を減算する |
厚生労働省『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』より |
高齢者虐待防止措置未実施減算の内容は以下の通りです。
【 算定要件 】
虐待の発生又はその再発を防止する措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合
【 単位数 】
所定単位数の100分の1 (=1%)に相当する単位数を減算
【 経過措置期間 】
福祉用具貸与については、3年間の経過措置期間を設ける
実はこの『 高齢者虐待防止措置未実施減算 』は、令和3年4月1日から令和6年3月31日まで3年間の経過措置が取られていました。その経過措置期間が終了したため、今回の介護報酬改定であらためて新設されたという経緯があります。
・虐待の発生又はその再発を防止する措置 とは?
高齢者虐待防止法(高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)を受け、厚生労働省は介護事業所の運営基準に、以下の『虐待防止のための措置に関する事項』の規定を義務づけました。
その内容は、以下の通りです。
① | 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること |
② | 虐待の防止のための指針を整備すること |
③ |
従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること |
④ | 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと |
厚生労働省:高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の概要より |
これらを実施していれば、高齢者虐待防止措置未実施減算にはならないはずです。
令和5年度に厚生労働省が行った調査によると、高齢者虐待防止措置に関する体制整備は、令和5年度実施予定を含めると、おおむね9割前後が達成しています。
ただしこれは、あくまでも令和5年度に行われたアンケート調査結果上の話です。実際に体制整備が間に合っていなければ、令和6年度の介護報酬改定からは減算の対象となってしまいます。
厚生労働省では毎年、高齢者虐待に関する調査結果を公表しています。
養介護施設従事者などによる高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数は、令和4年度にいたるまで右肩上がりです。
厚生労働省:令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果より |
一見すると悪い結果のようにも思えますが、高齢者虐待防止法による通報義務が機能しているとも言えます。
調査資料によると、高齢者への虐待発生要因で最も多かった回答が「教育・知識・介護技術等に関する問題」(56.1%)です。次いで多い回答が「職員のストレスや感情コントロールの問題」(23.0%)です。*複数回答形式
*令和 4 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果:(3)虐待の発生要因より
この回答結果から分かるように、介護スタッフのスキル向上とメンタルケアの充実を図ることで、高齢者の虐待も減っていくのではないでしょうか?
高齢者虐待防止措置は、高齢者を守ると同時に介護スタッフを守り、最終的には事業所を守るものであると考えます。
しかし、日々の介護業務に加え、新たな介護報酬に対応するとなると、事業所のスタッフも経営者も大変な負担がかかりますよね。
弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連への請求事務を代行する会社です。それだけではなく、実際に介護事業所を運営しておりますので、その経験を基に然るべき対策についてレクチャーを行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
*過去記事
・介護報酬請求の返戻を未然に防ぐ! そのためにやるべき事は何か?
・どう請求する? 月途中に要介護度の区分変更があった場合の介護保険の請求方法
《 記事原案者 》 | |
鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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《 記事加筆編集者 》 | |
北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |