令和6年度の訪問介護の看取りは新たな加算は設定されず、特定事業所加算の要件を追加して対応
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
2024年度の介護報酬改定では、訪問介護における看取りに関して、特定事業所加算の強化で対応することになりました。
もう少し具体的に説明すると、特定事業所加算の算定要件に看取り期の利用者への対応していることが加わったのです。
介護報酬改定で訪問介護の基本報酬は、以前よりも単位数が減っています。
単位数が減るということは、事業所の利益が減ることを意味しています。国としては、減った単位数を補う形で加算を取得させようと考えているように思えます。
では、訪問介護の看取りが、特定事業所加算の算定要件にどのように組み込まれたのかを解説します。
・訪問介護における特定事業所加算の見直し
当ブログでも過去に解説していますが、あらためて特定事業所加算について簡単にご説明します。
特定事業所加算とは―― |
介護技術レベルの高い人材が、質の良いサービスを提供している事業所に対して支払われる加算。職員に配分する必要がないため、事業所の利益に直結する |
過去記事:訪問介護の特定事業所加算とは? 実態に沿った分かりやすい言葉で解説
*上記の記事は介護報酬改定前の内容であることをご了承ください
特定事業所加算の目的は『 介護技術レベルの高い人材を確保し、質の良いサービスを提供している事業所を優遇しよう 』というものです。
そして2024年度の介護報酬改定では、特定事業所加算の算定要件に『 看取り 』に関する内容を新たに加えました。
分かりやすく、追加や統廃合された算定要件を以下に示します。
厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項について |
読み取りづらいかもしれませんが、特定事業所加算の改定では、重度者対応要件に『 (14)看取り期の利用者への対応実績が1人以上であること 』が追加されています。
例えば、以前から看取り期の利用者へサービス提供を行っている事業所は、医師や訪問看護師などとの連携が取れるよう体制を構築している実態があります。
そうなると、特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件の「体制要件(6)」と「重度者等体制要件(14)」をすでにクリアしている可能性があるのです。
・訪問介護における特定事業所加算の単位数
特定事業所加算の報酬区分に廃止や変更、新設はありますが、以前と比べて劇的な変化はないように思えます。ちなみに介護報酬改定前の算定状況について、加算(Ⅲ)、(Ⅳ)、(Ⅴ)はほぼ0%となっていました。
では、介護報酬改定で単位数がどのように変わったのか、以下の表で確認してみましょう。
厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項について |
表からも分かる通り、特定事業所加算(Ⅰ)、(Ⅱ)の単位数(=加算率)はまったく変わっていません。つまり、以前の特定事業所加算と同様に、特定事業所加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の加算率は倍も違っているのです。
過去にも例を出しましたが、具体的な単位数で各加算を比較してみましょう。
・身体介護01(特定事業所加算なし) → 163単位
・身体介護01・Ⅰ(特定事業所加算Ⅰ) → 196単位
・身体介護01・Ⅱ(特定事業所加算Ⅱ) → 179単位
*令和6年4月現在の単位数
実際の数字で見てみると、その差の大きさが実感できるのではないでしょうか?
ですが令和4年11月時点の調査によると、特定事業所加算を算定していない事業所が50.7%となっていました。
*厚生労働省:訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)参照
冒頭でもお伝えした通り、今回の介護報酬改定では訪問介護の基本報酬は引き下げされています。つまり、今まで特定事業所加算の取得を見送ってきた訪問介護事業所も、従来と同じ利益は見込めず、加算を無視できない状況になっているのです。
そこで訪問介護事業所は積極的に加算を取得し、介護報酬改定で引き下げ分を補う必要があります。
いかがでしたか?
厚生労働省によると、約4割の訪問介護事業所が看取り期の利用者にサービスの提供を行っています。しかし以前までは、看取り期の利用者にサービスを提供しても、介護報酬上の特別な評価はありませんでした。
今回の介護報酬改定を機に、特定事業所加算の取得を考えてみてはいかがでしょうか?
何度もお伝えしますが、特定事業所加算は事業所へ直接支払われる加算です。加算であるため、取得すると以下のようなことが起こるので注意してください。
①特定事業所加算を取得した分、利用者の利用料が増える |
②実地調査で特定事業所加算の要件が満たされるかのチェックが入る |
特定事業所加算の算定に伴い、さまざまな事務作業が増えることは必須です。スタッフの負担が増えるのは本末転倒とも言えますよね。
弊社北日本ケアサポートは、グループ会社:NPO法人はなうたでも特定事業所加算の算定をしており、事業所の実態に即した形でご相談を承れます。
特定事業所加算以外にも事務コンサルティングや国保連への介護報酬(介護レセプト)の請求代行なども行っています。介護事業所の運営などでお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
*介護保険請求代行・障がい福祉サービス請求代行・事務代行料金 一覧
*請求代行開始までの流れ
*過去記事
・国保連請求で、アウトソーシング(外部委託)を利用すべき企業とは?
・介護事業所のコンサルティングとは? オーダーメイドの実例を紹介します
《 記事原案者 》 | |
鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
|
《 記事加筆編集者 》 | |
北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |