実際に経営しているからこそ知っている、就労継続支援B型の運営で難しいと感じたことをご紹介

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 私、鷲尾が代表を務める法人では、2カ所の就労継続支援B型事業所を運営しております。
 *NPO法人はなうた運営:就労継続支援れのあ
 その事業所で現場スタッフから上がってくるトラブルについて、毎日のように相談を受けているのが現状です。
 現場の生の声は、インターネットや書籍などではあまり手に入らない気がします。
 そこで今回は、実際に起こったトラブルの中でも難しいと感じたものをご紹介しますね。

 先にお伝えしておきますが「円満に解決できました!」という話ではありません💦
 就労継続支援B型の立ち上げを検討している方に、このようなトラブルが起きた場合、どのように対処しようか? と事前に考えるきっかけにしていただければと思っています。
*本記事内では「障害」の文字が混在しますが、法令または行政サイトの表記をそのまま使っております

悩むビジネスマン

・トラブルその1:サービス管理責任者の採用と雇用継続

 就労継続支援B型事業所の人員構成は、利用者の人数によって変わってきます。ですが最低限、常勤のサービス管理責任者(=サビ管)が1人必要です。
 *そのほかに、職業指導員・生活支援員の両職種の配置も必須で、そのうちの1人以上は常勤でなければいけません
 このサービス管理責任者の採用と雇用継続が、なかなか難しいのが現状です。

サービス管理責任者の採用の難しさ

 私が就労継続支援開設のためにサービス管理責任者の求人募集をした2021年は、月給30万円を提示すると問い合わせの連絡が複数人からすぐに来ました。
 当時はサービス管理責任者に管理者を兼務してもらおうと考えていたので、この給与設定でも高くはないと考えていました。
 その後、最初に採用したサービス管理責任者が退職することとなり、新たに求人募集をしたのが20222023年です。しかし、問い合わせの連絡がまったく来ない状況が続きました。

 おそらく、以下の2つの理由が考えられます。

(1)  就労支援やグループホームの新規開設が増えてきていた
(2) 2022年度からサービス管理責任者等研修制度が見直され、サビ管の配置が困難になった

 サービス管理責任者は、従来、実務経験の要件を満たす者を研修終了後に配置できました。
 しかし2022年度からは、基礎研修終了後に2年間の実務経験(OJT)を経て、実践研修を受講しなければいけなくなりました。

 本来、サービス管理責任者の質と人員確保のための実務経験緩和を求める声を受けて、見直された制度でした。
 しかし全体としてサービス管理責任者の数が増えていないため、このOJTが足かせとなり、サビ管の人員確保がさらに困難となっているのが現状です。

 サービス管理責任者の員数が基準に満たない状況でサービス提供をすると、所定単位数から4カ月目までは30%の減算です。5カ月以上連続して基準が満たない場合は50%の減算です。
 この減算が続くと、就労継続支援B型の事業所としても、運営の継続が厳しくなってしまいます
 私が運営する事業所では、なんとかサービス管理責任者を採用できましたが、それでも1カ月間は30%の減算となってしまいました。

 ちなみに……紹介会社にサービス管理責任者を紹介してもらうという方法もありますが、その際の紹介料は1人につき100万以上支払うことを覚悟してください。

 

サービス管理責任者の雇用継続の難しさ

 サービス管理責任者の全体的な人数が少ないのですから、人材の取り合いとなるのは容易に想像がつきますよね? 人員確保のために他社よりも賃金を上げたり、好待遇にしたりして、何とか採用につなげようとします。

 そうすると何が起きるのでしょう?

 事業所内で嫌なことが起きたり、不満があったりすると、今より待遇のよい職場へ移ることを考える人が出てきやすくなるはずです。
 良いか悪いかは別にして、今は、サービス管理責任者にとって気軽に転職しやすい環境なのです。

 サービス管理責任者だけではなく、人材というのは採用から育成まで企業側が先行投資しています。そのため短期間で退職されては、企業としてもかなりの痛手です。
 上記でお伝えした通り、常勤が必須のサービス管理責任者は、就労継続支援B型の経営そのものにかかわってきます。
 対策としては、企業でも中心的な職員に資格を取ってもらうことをお勧めします。
 採用したサービス管理責任者が突然退職したとしても、減算を防ぐ手立ては事前に講じておきましょう

 余談ですが――
 北日本ケアサポート:スタッフAが思うに、転職を考える人の中には、嫌なことや不満が出た時にその解決に向けて手を差し伸べてくれるような職場環境ではないから、ほかの事業所へ移ろうとする人も一定数いるのではないでしょうか?
 仕事の壁にぶつかった時こそ、スキルアップのチャンスです。ですが、1人では解決できないこともあります。悩みすぎて心が病んでしまうこともあります。
 ただでさえ人材不足の福祉業界です。事業所側も、個々が働きやすい環境を考えることも重要ではないかと思います。

 サービス管理責任者の人員不足の声を受け、2023227日に開催された厚生労働省の社会保険審議会障害者部会では、サービス管理責任者になるために必要なOJT期間を2年間から6カ月に短縮できる条件が提示されました。
 ほかにも条件の緩和が検討されているので、サービス管理責任者の配置基準についてしっかり検討していただきたいものです。
 *厚生労働省『サービス管理責任者等研修制度について

人間関係

・トラブルその2:利用者同士のトラブル

 対人関係のトラブルはどこでも発生するものですよね。
 特に就労継続支援は、身体障がい者や知的・精神障がい者が利用する障害福祉サービスです。その特性上、利用者同士のトラブルが起きやすい状況でもあります。

 では実際に、事業所で起こったトラブルをご紹介します。

《 実例1 》

利用者Aさんが、トイレ休憩中のBさんのマグカップにコーヒーを注ぎました。
トイレから戻ったBさんはマグカップに入っているコーヒーを見て「泡立ちが普通ではない」「何か薬を入れられた」と騒ぎだしました。
スタッフがAさんとBさんの両者から聞き取りをしましたが、真相は分からずじまいとなりました。

それ以降、BさんはAさんと同じフロアで働くことを拒否しました。さらに、Aさんと同じ送迎車両に乗ることも拒否し、就労支援への通所を嫌がるようになってしまいました。

 事業所としては、両者のお話を聞いたうえでBさんの要望になるべく応えたいと思っていても、物理的に無理なこともあります。例えば、同じ方向の送迎で車両を変えるのは、事業所としても時間のロスです。利用人数が多ければ、なおさらですよね。

 結局、AさんとBさんの距離を離すような対応を取りましたが、BさんのAさんに対する不信感は消えず、根本的な解決には至りませんでした。

《 実例2 》

精神疾患のあるCさんの気分の変動が激しく、ほかの利用者たちと間でトラブルをよく起こしていました。
根本的な解決策を提示できない状況が続いていたところ、Cさんと同じフロアで作業していた利用者3名から退所するという申し出を一斉に受けました。

結果的に、同じフロアで働いていた利用者だけではなく、Cさんも退所することになってしまいました。

 精神疾患をお持ちの方が悪いわけでは決してありません。
 しかし、このようなトラブルが現実には起こり、その解決策が提示できないまま、残念な結果だけが残ることはよくある話です。

 一般の企業でも嫌な思いをする職場で働き続けるとなると、心が疲弊してしまいます。ですから、利用者が退所の判断をしたのは致し方がありません。
 しかし現場スタッフも問題解決のために、かなりの時間と労力を費やしています。結果はどうであれ、対応したスタッフの心のケアが必要になるかもしれませんね。

*北日本ケアサポート:スタッフAの経験談ですが……前職で新人の仕事の悩みを退勤後に長時間何度も聞き、その解決策を一緒に考えていました。しかし、ある日突然「退職します」と言われた時には『当人の決断なので仕方がないけれども、これまでの時間は何だったのだろう……。このような相談はもう受けたくないな』とまで思い、気持ちの切り替えにとても時間がかかった過去があります。


 障害福祉サービスを提供している以上、利用者間のトラブルは必ず発生します。
 根本的な解決が難しい場合は、利用者同士を物理的に離せる対策が取れるようにしておくことが重要かと思います。

 私が運営する事業所は2カ所あるため、利用者やスタッフに何かトラブルが起こった場合は、もう1つの事業所へ転籍してもらう提案ができます。環境が変わるとトラブルが解決する可能性があるので、事業所としての強みでもあります。

両頬に触れる手と涙

・トラブルその3:事業所と利用者間のトラブル

 このトラブルもよくある話です。実際にあった例をご紹介します。

利用者Dさんから「ビジネスチャットツール内でのスタッフEの言葉遣いが悪い」とクレームが入りました。
事実関係を確認すると、Dさんに対して失礼な言葉遣いがあったわけではなく、スタッフEの日本語の使い方に間違いがあったと分かりました。

そこで、事業所が確認した内容をDさんに説明したうえで、不快にさせてしまったことを謝罪しました。そして「スタッフも人なので間違いを起こすこともあります。今後もこのようなことがないとは言い切れません」と素直に伝えました。

しかしDさんは事業所の対応に納得できなかったのか、ささいなことも細かく指摘するようになり、最終的には、役所へ事業所のクレームを入れるまでに発展してしまいました。

 事業所の対応に不満があり、利用者が役所へクレームを入れることは仕方がないかなと思います。

 もし事業所の対応が不十分であるならば、役所から指導が入ることでしょう。
 しかし事業所が利用者へ真摯に対応しているのであれば、何ら問題はありません。当然ですが、役所も利用者のクレームだけで決めつけず、それが指導すべき内容なのかを冷静に判断してくれます。

 ただし利用者からクレームが入れば、役所としても事実関係の確認をする必要が出てきます。そうなるとスタッフは、日々のサービス提供に加えて、役所とのやり取りとクレームを入れている利用者への対応もしなければいけなくなります。
 これはものすごい労力が必要で、実際にスタッフがすっかり疲弊してしまいました💦

 「言った」「言わない」のもめごとは、一般企業でもよくあるトラブルです。また、スタッフが雑談で話した内容が、うわさ話として利用者間で広まる……ということも多々あります。
 何らかの情報を利用者へ周知する場合は、口頭ではなく、紙媒体かメールなどを使って一斉に流すことを徹底しましょう。
 こうすることで、どんな内容を、いつ、だれに送ったか、という記録が残りますので、トラブルが起こった場合の証拠になります。

チームワーク

 一般企業でも、さまざまな考えを持った人たちがいるため、意思疎通を図りながら円滑に仕事を進める難しさを感じることがありますよね。
 障害福祉サービスを提供する事業所では、この対人関係がさらに難しく、仕事を円滑に進めることは容易ではないかもしれません。

 もちろん、サービス管理責任者はもとより、現場スタッフも研修等でトラブルにどう対応すればよいかの知識があるとは思います。ですが知識だけではなく、経営者をはじめ、スタッフ全員が一丸となってトラブル解決に向かって取り組んでいけると、就労継続支援B型の事業所を円滑に運営していけると思います。

 弊社北日本ケアサポートは、障がい福祉事業所などの国保連請求代行をしている企業です。障がい福祉事業所のスタッフが現場での仕事に専念できるよう、事務コンサルティングなど多岐にわたってお客様をサポートしています。国保連への請求事務などでお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

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《 記事原案者 》
鷲尾 和巳 鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶
北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者
 
《 記事加筆編集者 》
北日本ケアサポートスタッフ 北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者