厚生労働省が定める障害福祉サービス『行動援護』はどんなサービス? 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で何が変わる?

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 厚生労働省が定める障害福祉サービスには、介護の支援を受けられる『 介護給付 』、訓練等の支援を受けられる『 訓練等給付 』があります。
 障害福祉サービス概要(厚生労働省HPより) 

 今回は、介護給付の訪問系サービスの1『 行動援護 』についてご説明いたします。
*本記事内では「障害」の文字が混在しますが、法令または行政サイトの表記をそのまま使っております

虹と手をつなぐ

 

・行動援護とは

 行動援護とは、知的障がい精神障がいで自己判断能力が制限されている方が行動する際、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行う障害福祉サービスです。
 行動援護に従事するヘルパーは障がいの特性を理解する必要があるため、専門の資格が必要です。

《 対象者 》
 以下の3つの条件がそろった知的障がい者または精神障がい者

知的障がいまたは精神障がいにより行動上著しい困難を有し、常に介護を必要とする
障害支援区分が区分3以上
障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目など(12項目)の合計点数が10点以上(児童にあってはこれに相当する支援の度合)である


《 サービス内容 》
 1)行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
 2)外出時における移動中の介護
 3)排せつおよび食事などの介護その他の行動する際に必要な援助

 具体的な内容は以下の通りです。

予防的対応
  • 初めての場所で不安定になり、不適切な行動にでないよう、利用者にはあらかじめ目的地での行動などを理解してもらう
  • どのような条件で行動障がいが起きるかを熟知し予防的な対応をする
制御的対応
  • 行動障害を起こした際の問題行動を適切におさめる
  • 危険を認識できないために起こる不適切な行動や、自傷行為を適切におさめる
  • 突然動かなくなることや強いこだわりを示すなどに対する対応
身体介護的対応
  • 便意の認識ができない方の介助や後始末の対応
  • 外出中の食事介助
  • 外出前後の衣類の着脱介護

*「障害福祉情報サービスかながわ」より引用


《 利用料 》
 原則1割負担です。ただし世帯の収入状況により、利用者が負担する上限月額が設けられています。
 *厚生労働省:障がい者の利用者負担参照

障害福祉サービス等報酬改定のチェック

・行動援護の算定は令和6年度の報酬改定でどう変わる?

 令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、基本報酬の見直しに加え、新たな減算が創設されました。
 内容を簡単に説明すると以下の通りです。

基本報酬の見直し

 行動援護でニーズの高い短時間の基本報酬(単位数)を引き上げ長時間を引き下げています。

短時間の基本報酬の例
30分以上1時間未満の場合

現行  407単位
改定後  437単位

長時間の基本報酬の例
5時間以上6時間未満の場合

現行  1940単位
改定後  1904単位

 新たな報酬改定では、3時間未満までの基本報酬は引き上げられており、3時間以上3時間30分未満は現行のまま、3時間30分以上からは引き下げられています。

 

新設された減算

虐待防止措置未実施減算 → 基本報酬から1%減算 》
 障害福祉施設等の運用基準に基づき、虐待の発生またはその再発を防止するため、以下の措置を講じることが義務化されています。

虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること
従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと
厚生労働省:障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き(令和5年7月)より

 

  近年、報道で障害福祉施設などの職員による利用者への虐待事件を見聞きします。
 厚生労働省の『 障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き 』によると、軽微な虐待行為が放置されたことでエスカレートし、利用者が重傷を負う事件へと発展することが分かっている、とハッキリ書かれています。

 虐待防止措置未実施減算の創設は、施設・事業所における障がい者虐待防止の取組を徹底するよう国が求めているとも言えます。

業務継続計画未策定減算 → 基本報酬から1%減算 》
 この減算は全サービスに対して新設されたものです。*サービスにより減算率が変わります

 感染症や災害の発生時であっても利用者に対するサービス提供を継続し、早期の業務再開を図るための計画を事前に策定することは必須です。これは、新型コロナウイルスの発生時にどの事業所でも痛感したのではないでしょうか?

 令和7331日までの間は「感染症及びまん延防止のための指針の整備」および「非常災害に関する具体的計画」の策定をおこなっている場合には、減算の適用はありません。
 だたし行動援護は「非常災害に関する具体的計画」の策定が求められてないことなどを踏まえて、こちらも令和7年3月31日までは適用はありません

情報公表未報告減算 → 基本報酬から5%減算 》
 この減算も全サービスに対して新設されました。*サービスにより減算率が変わります

 障害者総合支援法第76条の3には、事業者に対して障がい福祉サービスの内容などを都道府県知事などへ報告しなければならない旨が書かれています。
 そして、事業所から報告された情報は都道府県が集約し公表します。

 利用者への情報公表、災害発生時の迅速な情報共有、財務状況の見える化の推進を図る観点から、未報告の事業所には減算の措置を取ることにしたようです。

雲の中にある二つのハート

 
 いかがでしたか?
 行動援護は、知的障がい者や精神障がい者を対象とした障害福祉サービスです。サービスの特性上、ヘルパーは専門の資格が必要です。
 また、令和64月の障害福祉サービス等報酬の改定により、算定の見直しや新設される加算・減算もあります。
 今回は内容に触れませんでしたが、行動援護の特定事業所加算の加算要件も障害福祉サービス等報酬改定で見直されています

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《 記事執筆者 》
北日本ケアサポートスタッフ 北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者