人財確保と処遇改善はどうなっていますか?

2025年には、38万人の介護職員が不足する見通しです。

 介護保険制度が創設された2000年に55万人弱だった介護職員の数は、2015年には180万人を超えており、開始当初の3倍以上になっています。しかし2025年にはさらに100万人の介護職員が必要となると言われています。

 20181月時点で、日本の完全失業率は2.7%と24年ぶりの低さとなっており、処遇の高くない介護職には人が集まらなくなっています。一方で政府は、介護離職ゼロを達成するため、約12万人分の在宅・施設サービスの介護基盤整備を目指しています。現在のトレンドと生産年齢人口の減少を勘案すると、2020年には31万人、2025年には38万人に介護人材が不足する計算となります。

 

ニッポン一億総活躍プランにも、処遇改善が謳われています。

 政府は、2016年に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいて、2017年度から介護人材のキャリアアップの仕組み構築と処遇改善に取り組んでいます。介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の創設、「働きながら資格を取る」介護雇用プログラム、介護福祉士等就学資金貸付事業といった資金・処遇面での支援のほか、認定介護福祉士や介護キャリア段位制度などのキャリアパス整備を行っているのです。今後は、「介護の仕事の魅力発信(体験型イベント)」「介護福祉士国家資格の取得を目指す外国人留学生の受け入れ環境整備」「中高年齢者の介護未経験者に対する入門的研修」などを実施し、人材確保を図るもようです。

 

現場の生産性をどのように向上させますか?

業務効率化による生産性向上が求められています。

 今回の改正では、訪問・通所リハビリテーションにおけるリハビリテーション会議への参加に、テレビ電話などの活用が認められました。こうしたICTの活用は、介護現場の生産性向上の観点からも注目されています。介護職員はサービス提供に伴う日々の記録を手書きしていることが多く、それがサービス時間の低下や残業時間増加につながっています。現在、モデル市町村において、日々の記録などにタブレットを活用する取り組み、取り組みを受けた業務改善に向けた手引きの策定などが求められています。今後は、その成果を踏まえてICTなどを活用する事業者に対する人員・設備基準の緩和が検討されるでしょう。

 

見守り機器が導入され、ロボット開発も進められています。

 介護施設における夜勤業務効率化の観点から、見守り機器の導入も認められました。見守り機器を導入した施設は、夜勤職員配置加算の算定基準が若干緩和されます。従来は夜勤時間帯の夜勤職員数が「最低基準+1名分の人員を多く配置していること」となっていましたが、見守り機器を導入した場合は「最低基準+0.9名分の人員を多く配置していること」となります。また介護ロボットの開発も進められています。現場ニーズを反映した提案内容を取りまとめる協議会が設置され、実証実験や成果の普及活動を担う福祉用具・ロボット実用化支援事業、介護ロボットを活用した介護技術を開発する介護技術開発支援モデル事業が実施されています。