新たな処遇改善加算『 介護職員等ベースアップ等支援加算 』とは? 算定要件や配分方法は? 介護職員処遇改善支援補助金と何が違う?

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 2022年621日に、厚生労働省から介護職員の処遇改善に係る加算に関する通知が新たに公表されました。それが『 介護職員等ベースアップ等支援加算 』です。
 この加算は、20222月に時限的に実施された『介護職員処遇改善支援補助金』を、恒久的にするために新設されたものです。

 今回は新たな加算であるため、今までの経験から予想されるご質問をQA形式でお答えしたいと思います。ご参考になれば幸いです。

処遇改善加算のイメージ

厚生労働省:介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要より

 

Q:介護職員等ベースアップ等支援加算と介護職員処遇改善支援補助金との違いは?

A:基本的には同じもの……ですが

 冒頭でもご説明した通り、介護職員等ベースアップ等支援加算は、介護職員処遇改善支援補助金を継続するために作られた加算です。
 双方の内容を比べると、基本的な部分の違いはほとんどありません。
 しかし1つだけ、決定的に大きな違いがあります。それは、補助金から加算へと変わるため、ご利用者様の負担が発生するという点です。
 このことから、事業所はご利用者様に対し、重要事項説明書の再締結・同意書等で、あらためて説明する必要があります。
 *賃金規定の変更にもなるため、就業規則等の変更や職員に対する説明も必要です

 また、補助金のときとは加算率が異なっているサービスもあるので、必ず確認してください。
 例えば、訪問介護の補助金では交付率が2.1%でした。介護職員等ベースアップ等支援加算の加算率では、2.4%に変更されています。
 *厚生労働省:介護職員の処遇改善に係る加算に関する通知(別紙1:加算対象サービス)参照

Q:介護職員等ベースアップ等支援加算の『 算定要件 』は?

A:算定要件は、以下の2つをクリアする必要があります

(1) 現行の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している
(2)

 加算額の2/3は、介護職員等のベースアップ(*)等に使用する
  *「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」の引き上げ

 (2)の加算額ですが、厚生労働省の通知を見ると月額平均9,000円という数字が目に入ってしまうため、9,000円程度の賃金が引き上げになるのかと勘違いしてしまいそうです。
 上記でも触れましたが、サービス内容によって加算率が異なります
 訪問介護は2.4%、通所介護は1.1%、通所リハでは1.0%となるので、一概に9,000円程度の賃上げとはならないのです。

 また、他の処遇改善と同様に、毎年、介護職員等ベースアップ等支援加算計画書と実績報告書を作成する必要がありますのでお気をつけください。
 厚生労働省で配布されているExcelシートでは、処遇改善加算・特定処遇改善加算の計画書・実績報告書に、介護職員等ベースアップ等支援加算の計画書・実績報告書が付け加えられています。それを使用すれば問題ないかと思います。

Q:介護職員等ベースアップ等支援加算の『 申請開始時期 』と『 入金時期 』は?

A:申請開始は8月から。この場合の入金は12月末になる見込みです

 10月分から介護職員等ベースアップ等支援加算を算定したい場合、8月末までに都道府県等にベースアップ等支援加算の計画書を提出する必要があります。
 介護職員等ベースアップ等支援加算は10月からの算定になるため、国保連合会からの入金は12月末ごろです。

Q:介護職員等ベースアップ等支援加算の『 配分ルール 』は?

A:基本的には介護職員へ。ですが、事業所の判断により、他の職員へ配分できるよう柔軟な運用が認められています

 具体的な賃上げについては、事業所にある程度の裁量が認められています。

 介護職員等ベースアップ等支援加算は、加算額の3分の2以上ベースアップとして、介護職員だけではなくその他の職員に分けて配分できます。少し余裕をもって、8割ぐらいを最初から配分すると良いかもしれません。
 この加算は、あくまでも介護職員がメインの加算であるため、その他の職員への配分率には注意が必要です。また、ほかの処遇改善加算と同様に、法定福利費等の事業所の負担分も加算の配分として認められます

ベースアップ等支援加算の計画書記入例
厚生労働省:処遇改善計画書(令和4年10月分)記入例より

 配分ルールは、上記の画像でも分かるように、基本給または毎月支払われる手当とのどちらかを選択します。
 注意する点は、介護職員等ベースアップ等支援加算の実績報告書を作成する際、介護職員ベースアップ等支援加算としていくら配分したかを報告しなければならないことです(下の画像参照)
 基本給や既存の手当の増額を選択した場合、事業所として基本給や手当をアップさせたのか、ベースアップ等支援加算でアップさせたのかの区別ができる書類等を残しておく必要があります。

ベースアップ等加算の実績報告書

厚生労働省:別紙様式3(実績報告書)より

 

Q:介護職員等ベースアップ等支援加算の対象外のサービスは?

A:従来の処遇改善加算と同様のサービスが非対象です

 具体的には、以下のサービスが介護職員等ベースアップ等支援加算の対象外です。

(介護予防)訪問看護(介護予防)訪問リハビリテーション(介護予防)居宅療養管理指導
(介護予防)福祉用具貸与居宅介護支援介護予防支援

 処遇改善加算の基本的な考え方は、『介護職員の賃金改善やキャリアアップの仕組みの構築を促す』というものです。
 そのため、老人保健施設などの医療に近いサービスは、訪問介護など介護がメインのサービスと比べ、介護職員等ベースアップ等支援加算の加算率が低く設定されています。

 弊社北日本ケアサポートは、介護事務のコンサルティングだけではなく、介護経営のコンサルティングも行っています。
 処遇改善加算の対象外の訪問看護や居宅介護支援事業所などで、売上など経営にお困りの際は、ぜひ北日本ケアサポートへご相談ください。
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POINT!

 
 介護職員等ベースアップ等支援加算も、そのほかの処遇改善加算や介護保険(=介護報酬)の請求もすべて、原則9割は国からもらうお金です。つまりそれは、私たちの給与などから強制的に徴収された税金です。
 そう考えると、国民から徴収したお金を、国が厳格なルールのもとで配布するのも納得できますよね。
 ですから、ルールをしっかり守ればキチンと貰えますし、ルールを守れなければ1円たりとも貰えない、となってしまいます。

 介護保険法の中で仕事をしていく以上、理解しがたい算定要件等で加算の取得を諦めず、それらのルールをしっかり理解したうえで、事業所を運営していくことが今後も必須条件となるはずです。
 そうは言っても、厚生労働省が配布している処遇改善加算などの書式を見て、「う゛……」と尻込みする気持ちも分かります()

 長年、弊社のクライアントの書類作成に携わってきた経験上、行政に提出する書類作成にはクセのようなものがあると実感しています。これに関しては、場数をこなして慣れるしかない……かと。
 それでも、分からないことや困っていること、アドバイスが必要なことがあれば、いつでもお気軽に北日本ケアサポートまでご連絡ください。私、鷲尾が対応いたしますので、よろしくお願いいたします。
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《 記事原案者 》
鷲尾 和巳鷲尾 和巳(わしお かずみ)
北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者

《 記事加筆編集者 》
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介護事務管理士 資格保持者