地域包括ケア構築における市町村の役割は何ですか?

PDCAサイクルで、地域包括ケアシステムを構築します。

 地域包括ケアシステムの構築では、市町村が大きな役割を果たします。

 市町村は、日常生活圏域ニーズ調査などにより地域の課題を把握し、それを担う地域リーダーやボランティアといった社会資源を発掘します。そして対応策を検討し、関係施設と調整のうえで具体策を出します。具体策は、介護保険事業計画に盛り込まれ、地域ケア会議とも共有されます。

 2018年度の改正で、生活援助型サービスの新たな担い手の開拓が市町村に求められるようになりました。一部の市町村は、サービスに従事する人材向けの研修過程を開発しています。

 

生活支援コーディネーターや協議体を支援します。

 2015年度の制度改正から、地域包括ケアシステム構築における地域支援事業の役割が強化されました。具体的には、介護予防・日常生活支援総合事業では、住民主体の多様なサービスの充実による介護予防や生活支援など、生活支援・介護予防の基盤整備に向けた取り組みを行っています。市町村には、こうした取り組みを支援する役割も求められているのです。

 

 

地域包括ケアの実現における課題は何ですか?

地域包括ケアの実現には介護と医療の連携が必要です。

 地域包括ケアシステムの実現における大きな課題の一つが、「介護と医療」の連携です。

 そもそも地域包括ケアシステムは、高齢者に対して医療・介護・福祉など様々な職種のスタッフが連携しながらサービスを提供することが前提となっています。しかし、制度の違いや意識の隔たり、情報共有環境の未整備などのため、関係構築が進んでいる地域はあまりありません。そのため、2018年度の制度改正では、リハビリテーションや居宅介護支援、中重度要介護者や認知症患者への対応などにおいて、医療と介護の連携強化が図られています。

 

増え続ける認知症患者の対策も、大きな課題です。

 認知症の原因は、6割がアルツハイマー型、3割が脳血管型と言われています。認知症高齢者の正確な数は、家族が表沙汰にしないことなどからわかりませんが、2015年時点で500万人強、2025年時点には700万人弱に近づくとの調査結果もあります。これは、65歳以上の5人に1人が認知症になる計算です。

 そのため厚生労働省は、地域包括ケアセンターにおける相談窓口の設置、認知症地域推進員の配置などによる認知症施策総合推進事業の実施を積極的に進めているのです。