介護保険制度は何年ごとに見直されますか?

原則として、3年ごとに精度や報酬が見直されます。

 介護保険制度は、原則として3年ごとに制度が見直され(介護保険法の改正)、それに伴って介護報酬が改定されます(厚生労働省の公布)。厚生労働省の社会保障審議会の介護保険部会が介護保険制度全般を、介護給付費分科会が介護報酬や運営基準などを検討し、そこでの議論に基づいて改正や改定の方針が決められるのです。ただし、法律が改正されるのは新しい介護事業計画が始まる前年で、法律改正から1年から1年半程度の猶予期間を置いた後、法律が施行されます。

 介護医療院の創設などがポイントとなる2018年度の制度改正は2017年に法律が改正され、2018年の4月と8月から施行されます。

 

原則3年を1期として、事業計画を立てています。

 介護保険制度では、保険者である市町村などが、原則3年を1期として財政収支を見通し、介護保険事業を運営しています。事業計画では、介護給付と介護保険料収入の見通しなどに応じて、介護報酬と保険料が決められます。

 介護保険制度がスタートした2000年時点に3.6兆円だった介護給付(給付費用総額)は、2016年度には10.4兆円にまで膨らみ、1号保険料の平均額も開始時の2911円から5514円まで上がりました。

 そして団塊の世代が75歳以上になる2025年には介護給付が21兆円、保険料が8200円になるとの試算もあります。

 

なぜ制度改正や報酬改定を行うのですか?

制度改正は利用者のニーズなどに応じて行われます。

 介護保険の制度改正は、利用者のニーズや介護事業の運営状況などに応じて、新たなサービスを創設したり、既存のサービスを見直したり、事業の枠組みを変更したりするために行われます。

 例えば、2006年度の改正では、高齢者が住み慣れた地域で最後まで住み続けられるようにするために地域密着型サービスが創設され、介護予防に力を入れるために介護予防事業が介護保険に組み入れられました。そして2015年度や2018年度の改正では、介護保険事業を持続するために、利用者の費用負担や保険料負担の見直しなどが行われたのです。

 

介護報酬の改定は収支状況に応じて行われます。

 介護保険の制度改正は、報酬が高すぎる・低すぎるために、引き上げ・引き下げが必要なサービスについて行われます。改定にあたっては、介護事業経営実態調査で介護サービス別の収支状況が把握されます。

 2016年度の調査結果によれば、2015年の制度改正で様々なサービスの介護報酬が引き下げられ、人手不足などから人件費が上がった結果、通所介護や特定施設入居者生活保護、介護老人福祉施設などはいずれも収支差率を大きく落としています。一方、経営が厳しい居宅介護支援については、2018年度に介護報酬が引き上げられています。