障がい福祉事業の起業に興味のある方必読! 『 障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 』

 こんにちは! 北日本ケアサポートスタッフ:Aです。

 以前、『 障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 』の書籍から、障がい福祉サービスの基本をご紹介しました。
  *過去記事→障がい福祉事業の起業に必要な知識とは?― 障がい福祉サービス基本編
 今回は書籍を基に、障がい福祉事業を開業するために必要な『 指定申請 』についてご紹介します。
  *本記事内では「障害」の文字が混在しますが、法令または行政サイトの表記をそのまま使っております

障害福祉業の指定申請

・障がい福祉事業の「指定」は、どこに申請すればよい?

 障がい福祉サービスを提供する事業者は、障害者総合支援法第36条第1項等の規定に基づき、事業所が所在する都道府県知事(指定都市または中核市)の指定を受ける必要があります。
 この指定を取ることで、障がい福祉サービスの事業を行えるのです。

 そのためには、まずは障がい福祉サービスの事業を行う場所を確定します。

 上記で、都道府県知事(指定都市または中核市)の指定を受ける必要があると書きました。
 ですが、障がい福祉サービスの事業を指定する実際の指定権者は、その地域の障がい福祉事業を管轄する役所です。
 このことから、障がい福祉サービスを行う場所を確定しなければ、指定申請先も決まらない、となるのです。

 *ちなみに……指定を取るためには、法人格であることが必須要件です。ただし、指定権者は法人の所在地とは限りません。あくまでも、サービスを提供する地域の役所が指定権者なので、注意が必要です

 では、各地域の指定申請先は、どこになっているのでしょうか?
 例として、東京都・大阪府・北海道の障がい福祉サービス事業等の指定申請の届出先をご紹介します。

《 東京都 》

・福祉サービス事業等の指定者 → 都知事
・指定申請の届出先 *2022年12月現在
区 分 届出先
事業所等が2以上の都道府県に所在する事業者

厚生労働省本省

(社会・援護局障害保健福祉部企画課監査指導室)
特定相談支援事業又は障害児相談支援事業のみを行う事業者であって、すべての事業所等が同一区市町村内に所在する事業者 区市町村
事業所等が八王子市のみに所在する場合 八王子市
上記以外の事業者 都道府県
 *東京都福祉保健局:東京都障害者サービス情報・申請のご案内より

 

《 大阪府 》

・大阪府は、市町村・広域福祉課へ権限譲渡している *2022年12月現在

 各市に指定・指導権限がある市町村
政令市  大阪市・堺市
中核市  吹田市・高槻市・豊中市・寝屋川市・枚方市・東大阪市・八尾市
 茨木市・柏原市・松原市
 各広域福祉課に指定・指導権限がある市町村
箕面広域  池田市・箕面市・豊能町・能勢町
南河内広域  富田林市・河内長野市・大阪狭山市・太子町・河南町・千早赤阪村
岸和田広域  泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・田尻町・岬町
 大阪府が指定権者である市町村
 守口市・大東市・羽曳野市・門真市・摂津市・藤井寺市・四條畷市・交野市・島本町

 *指定窓口は、大阪府福祉部障がい福祉室 生活基盤推進課 指定・指導グループ 指定担当

 大阪府以外の各市町村は、各地域の指定指導担当部署が担当窓口です。
 令和4年度 大阪府及び府内市町村の指定担当福祉部署 連絡一覧参照

《 北海道 》

・福祉サービス事業等の指定者北海道知事、札幌市・函館市・旭川市は各市長

・指定申請の届出先 *2022年12月現在
地 域

届出先

札幌市

札幌市保健福祉局障がい保健福祉部障がい福祉課事業者指定担当

指定申請等の手続きについて
函館市

保健福祉部 指導監査課

障害福祉サービス事業サービスおよび障害児通所支援事業者向けページ
旭川市

旭川市福祉保険部指導監査課

障害福祉サービス事業等の申請・届出等の手引き
上記以外の地域

事業所が所在する地域の総合振興局 保健環境部福祉課

障害福祉サービス事業者等指定申請・指定更新について

 

 各地域の障がい福祉サービス事業の指定申請届出先を調べ、上記のように簡単にまとめてみました。3つの地域だけでも、このように異なっていることが分かりますよね。
 北日本ケアサポート:スタッフAが調べた際の正直な感想は、行政のサイトは探しづらいうえに分かりづらい……でした💦

 『 障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 』の書籍によると、もし指定権者が分からない場合、下記のように書いてありました。

事務所を置く(であろう)の都道府県の代表番号に電話をして、「障がい福祉事業の指定担当係」につないでもらい、「指定を受けたいサービス名」と「市町村名」を伝えて、どこが指定権者かを確認するとスムーズにさがすことができます

 このように指定権者が判明したら、そこへ連絡を取り、担当窓口を確認しましょう。
 後述しますが、指定申請の書類は郵送ではなく、窓口へ直接提出する場合があります。今後のこともあるので、担当窓口の確認は必須です。

障害福祉業の指定申請の流れ

・指定申請から事業開始までの流れ

 障がい福祉サービスの指定申請から開業までの流れは、各地域の指定権者によって若干の差異があります
 例として、札幌市の指定申請手続きの流れをご紹介します。
  札幌市HP 指定申請の手引きより

① 指定前事業者説明会(任意)

② 指定基準等及び他法の確認
 →指定の要件、指定基準、最低基準、報酬算定基準及び他法(消防法、建築基準法等)の確認
 ②-1:法人設立(定款作成)
 ②-2:事業所及び従業者の確保

③申請書類作成
 →提出書類チェック表、指定申請書、付表(指定を受けたいサービスごとに作成)、運営規程、添付資料・参考資料、事業開始届、報酬算定等に係る体制届出書
 ③-1:予約連絡(書類提出は郵送不可)

④市役所訪問
 →窓口にて申請書類の審査。書類に不足や不備がある場合、再度の提出を求められる
  *札幌市の場合、平均2~3回ほど再来庁することがある

⑤受付
 →申請書類に不足や不備がないことを確認したうえで受付

⑥審査
 →審査期間は1カ月間

⑦指定
 →札幌市は、指定日が毎月1日となる。事業所番号等を記載した指定通知書は、指定月の前月末ことに事業所に郵送

 
 札幌市での指定申請は、指定希望日のおおむね2カ月前までに、直接窓口へ提出する必要があります(上記④のこと)窓口への提出は、ほかの地域でも予約制が多いと感じました。
 札幌市では明確な記載がありませんでしたが、⑥審査は現地調査を実施する場合もあるようです。
 また大阪府では、指定申請手続きの中で「指定時研修」というものがあるそうです。

 このように、地域ごとのローカルルールや指定後の運用にも若干の違いがあると、書籍にも書いてありました。

赤文字check!

・障がい福祉事業で「指定」を取るための要件とは?

 書籍によると、障がい福祉事業で指定を取るためには、大きく分けて4つの要件があるそうです。

①法人格 *療養介護は、医療機関で行うことが必須のため除く
 →さまざまな法人形態がありますが、書籍では「株式会社」「合同会社」「一般社団法人(営利型)」「特定非営利活動法人(NPO法人)」の特徴が紹介されています。
 本記事では、各法人についての説明は割愛しますが、それぞれの法人にはメリット・デメリットがあるので、内容をしっかり把握してから決定してください。

 ちなみに、弊社北日本ケアサポートのグループ会社で障がい福祉サービスも行っている「非営利活動法人はなうた」は、その法人名にあるように、非営利活動法人(NPO法人)という法人格です。

②人(人員配置・人員基準)
 →人員の配置基準は、各サービスによって決められています。
 その中でも重要といえるのが「サービス管理責任者」「児童発達支援管理責任者」「サービス提供責任者」です。

 サービス管理責任者と児童発達支援管理責任者は、実務経験+研修が必須要件です。
 また、サービス提供責任者は、定められた資格を保有している必要があります。
 実務経験年数や資格保有要件などは、地域ごとで異なります。そのため、必ず指定権者のホームページで確認し、不明な点があれば指定権者へ問合せしてください。

③物件
 →特に気を配る必要があるのは、利用者が事業所に訪れるサービスです。
 就労系や障がい児通所などのサービスを行うには、以下の法律等に適合した物件でなければなりません。

 1)都市計画法
 2)建築基準法
 3)消防法
 4)条例
 5)障害者総合支援法、児童福祉法など
 6)その他、各地域の規則

 これらに適合した物件ではない場合、指定が取れない・改修が必要となり余計な費用がかかる・利用者が来ない事業所になるなど、とんでもない事態になるので、物件は慎重に選びましょう。
 よく分からない場合は、消防法や地元の条例に詳しい業者に相談するのも手ですね。

 また、各サービスによって必須の設備基準もあるので、それも指定権者のサイトで確認が必要です。

④その他
 →上記以外にも、「指定」を取るための要件を各地域の指定権者が求めてくるケースがあります。
 例えば、近隣住民への説明や駐車スペースの確保、災害を考えた立地などです。これらローカルルールの有無も、指定権者に確認しましょう。

クローバーと建物

 いかがでしたか? 障がい福祉事業の指定申請について、大まかに説明してきました。
 何度もお伝えしますが、実際はサービスごと、地域ごとにより指定申請に違いがあります。また、地域の指定権者がどこか、担当窓口はどこかなどを探す必要もあります。
 さらに詳しい内容は『 障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 』の書籍をご覧いただければと思います。

 弊社北日本ケアサポートは、障がい福祉サービス事業や介護事業のコンサルティングサービスも行う会社です。
 これから障がい福祉事業を開業しようと考えている方だけではなく、今現在、障がい福祉事業でお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください♪
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《 記事執筆者 》
北日本ケアサポートスタッフ北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者