介護の求人媒体を利用するだけでは、効果半減! 求職者に介護事業所をどうアプローチするかも重要
こんにちは! 北日本ケアサポートです!
前回は、NPO法人はなうたの理事である鷲尾が、介護人材を集められた具体的な方法をご紹介しました。
*前回はこちら→介護人材をどう確保する? 採用方法やアプローチを事例から徹底解説― 求人募集編 ―
求人媒体を利用するのと同時に、介護事業所や企業、その所長や社長の顔を、介護求職者に認知してもらうことも大変重要です。
例えば、まったく同じ待遇だとしても、イオンなど大手スーパーの求人と無名の個人商店、どちらに求職者が集まりやすいかの想像はつきますよね?
これは認知度の違いによるもので、個人商店だとしても、そこの社長が有名だったり、知名度が高かったりすれば、求職者は集まってきます。
つまり、企業の規模はどうであれ、社長や企業の名前を目にする機会を増やすことが重要なのです。
そこで今回は、私が行ってきた具体的な手法をご紹介します。
「SNSやメディア、イベントを利用することで認知を広める」
1)SNSの利用
今や、SNSなどのインターネットによる情報発信は、必要不可欠です。
介護事業所や企業などでSNSを取得しているところは多いかと思いますが、しっかりと更新を継続していますか?
情報を投稿しても反響がない中、それでも情報を発信し続けることは、まさに苦行です……(声を大にして「本当にそう!」と言いたいくらい、経験済みです(笑)
ですが『継続は力なり』という言葉通り、SNSの更新を続けることで、徐々にフォロワー(ファン)が増えていくと思います。
ただし、企業系のSNSは投稿する内容も重要です。
企業アピールだけでは、個人ユーザーから敬遠されます。そうかといって、社内の日常ばかりを投稿しても、同様に個人ユーザーに飽きられてしまいます。
企業のSNSは、『誰か』の役に立つ情報を発信すると同時に、親しみやすさを意識した内容も投稿します。いわゆる、緩急をつける。投稿内容のバランスが大切です。
TwitterやInstagram、Facebookなどは、それぞれに利用者の年齢層があると言われています。
例えば、InstagramのほうがTwitterよりも利用者の年齢層が低めです。このように、年齢層のことを踏まえて、投稿内容を考える必要があるかもしれません。
また、写真や文章の投稿に加え、こちら(企業側)からのフォローやリツイート、コメントやシェアなどのアクションも欠かせません。そもそもSNSは、利用者同士の交流を目的としているサービスなのですから。
企業でも個人でも、SNSを継続し続けることはなかなか難しいものです。逆に、継続していること自体が企業や個人のアピールとなりますので、ぜひ投稿し続けてください!
2)情報メディアの利用
情報メディアとは、SNSはもちろん、テレビや新聞、ラジオなどを指します。
私は2年間ほど、地元のラジオ番組でパーソナリティを務めていました。
自分のラジオ番組を持つためには、ラジオ局から番組枠を購入することで可能です。私はパーソナリティとしては素人であるため、週1回1時間の番組枠を買っていました。
ラジオ番組を持つ、というと高額に思うかもしれませんが、そのラジオ局の番組枠は、ひと月あたり25,000円でした。大手のラジオ局やテレビCMなどと比べると、安価だと思います。
私がラジオ番組を始めた狙いは、私自身が介護事業の経営に携わっている特異なキャラクターであるという『売り込み』に加え。、NPO法人はなうたを『宣伝』するためです。
それだけではなく、もともとあった人脈からさらに紹介を受け、ラジオ番組のゲストの方々と知り合えたり、「ラジオ番組に呼んでよ」とわざわざ声をかけてくださったり、ラジオを通して新たな人脈が広がっていくメリットもありました。
さらには、ラジオ番組のリスナーさんが、NPO法人はなうたの介護現場へ見学にいらっしゃったこともあります。
よく「ラジオ番組は宣伝効果があるの?」と聞かれることがあります。確かに、すぐに収益につながることはありません。
しかし、人脈を広げるという効果は絶大で、そこからビジネスチャンスにつながるといった効果があるのは間違いありません。
3)イベントへの参加
私は、NPO法人はなうたの理事のほかに、一般社団法人日本介護協会の理事も務めております。
その日本介護協会が主催する「介護甲子園」というイベントがあります。このイベントは、参加した介護事業所の介護に対する想いや取り組みを発表し、介護業界で働く人が夢や誇りを持てることを目指しています。
この介護甲子園で優勝した介護事業所で、こんなお話を聞きました。
介護の求人広告を出しても、いつも、問い合わせが1人あるかないくらいかだったが、介護甲子園の優勝旗と優勝した際に撮った写真を掲載したところ、30名ほどの問い合わせがあった。 |
イベントへ積極的に参加することで、介護事業所の知名度を上げる効果があります。ましてや、優秀な成績を残した場合の宣伝効果は抜群だということが、事例からお分かりになるかと思います。
もちろん、このような介護に関するイベントは、介護スタッフが1つの目標に向かって力を合わせるため、チーム力アップにもつながりますよね。
日本介護協会の「介護甲子園」は、2022年3月6日の開催が決定されています。
気になった介護事業所の方は、ぜひチェックしてみてください。
→第11回介護甲子園公式サイト
「介護資格のない求職者の受け皿へ。NPO法人はなうたのチャレンジ」
・有資格者という少ないパイと取り合うだけの現状
訪問介護が多いNPO法人はなうたでは、以前まで、有資格者のみを採用しておりました。
しかし、その有資格者は、結局、近くの訪問介護事業所から転職してくる方がほどんどです。
つまり、人材不足が常態化している介護事業所同士で、数少ない有資格者を取り合っているだけに過ぎないのです。
このようなことから、有資格者を採用するたびに、「この状況に、意味はあるのだろうか?」と自問自答することが多くありました。ですが、それが商売なのだと、自分に言い聞かせてきました。
・無資格者を有資格者へ。発想の転換で人材不足解消へのチャレンジ
ある時、NPO法人はなうたに「無資格ですが……」と言いつつも、大変やる気に満ちた若者からの問い合わせが来ました。
それまでは「資格を取得してから、またご連絡ください」とお断りしていました。
しかし、せっかく介護業界の門を叩いた青年を、無資格であるからとの理由で取り合わないのは、業界的にもったいないと思ったのです。
そこで、NPO法人はなうたで研修代を払い、その研修中にも給与を払うことを約束し、その青年に入社してもらうことにしました。
すると、その青年が入社して時間も空かず、再び、無資格の若者からの求人の問い合わせ。この方も、最初の方と同様に研修を受けてもらいました。
・介護職員初任者研修のスクールを開講
もしかすると、コロナ禍による離職率が影響しているのかもしれません。とにかく、介護職への潜在的なニーズが無資格者にもあると感じ、NPO法人はなうたで「介護職員初任者研修」が受けられる申請を行うことにしました。
介護職員初任者研修の費用は29800円。おそらく、北海道では最安値です(笑)
1人来ても10人来ても、経費はさほど変わりません。それならば、最低限の金額で構わない。それよりも、介護業界に飛び込もうとしている方を1人でも多く増やしたい。そして、そんな熱い思いを持っている方と多く出会いたい。その気持ちのほうが強くありました。
まぁ……NPO法人はなうたでの研修がキッカケとなり、そのまま入社してくれるとラッキー♪ という気持ちも、ちょっとだけあったことは否定しません(笑)
・中途採用だけではなく、無資格の新卒採用も実施
介護系の専門学校や大学に通っている方は、給与や待遇の良い社会福祉法人や医療法人など大手に就職することが大半だろうと予想できます。
そこでNPO法人はなうたでは、高卒を中心とした無資格の新卒者へのプロモーション活動を、2021年夏ごろから開始しました。そしてなんと、3名の方から問い合わせをいただいている状況です。初動としては、良い結果だと思います!
もちろん、新卒採用の方には、自社のスクールに通っていただき、その後各現場へと配属されていきます。
いわば、企業持ちで超短期の専門学校へ通いながらも、給与がもらえるのです。こんなに良いことはありませんよね? しかも、他業界では高卒の初任給は低い傾向ですが、介護業界はそれよりも高く設定できます!
また、介護事業所としても、介護職員の平均年齢が下がることでICT化に対応しやすくなるなど、変化に強い環境づくりの促進に期待が持てます。
自社のスクールを開講することは、容易ではありません。ですが、新卒の採用は、そんなに難しくはありません。
しかし介護事業所は、利用者へのサービスを無難にこなして行くために、有資格者や経験者を採用しがちです。
経験者ばかりを採用しても、離職率は下がりません。そして、未経験者や若い人材を養成する環境も育ちません。中途採用ばかりでは、介護業界の人材不足は解消されないのです。
長期的な視点で見ると、新卒者を採用していくほうが、間違いなく介護事業所は良い方向へ向かうと私は思います。
ですが、未経験者を採用したものの、介護の仕事を教える時間が作れない、といった問題が出てくるかもしれません。
その際はぜひ、北日本ケアサポートまでご相談ください。
*お問合せは →こちらまで
弊社は、介護事務作業の代行を主に行っている企業です。事務作業は外注でも行えますが、新入社員さんに研修ができるのは、介護現場の方しかいらっしゃいません!
介護という本業にしっかり向き合うことで、介護事業所における生産性が生まれてきます。
私が理事を務めるNPO法人はなうたでの取り組みや、私の考えなどを参考にしていただき、貴社の事業が少しでもうまく行くことを願っております。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
*弊社グループ関連会社
・NPO法人はなうた
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《 記事原案者 》
鷲尾 和巳(わしお かずみ)
北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者
《 記事編集者 》
北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者