月途中に要介護度の区分変更があった場合の介護保険の請求方法とは
要介護認定は、利用者さんの状態が刻々と変化するため、原則として12カ月ごとに更新の手続きを行います。
ですが、急激に状態が悪化した場合、または好転した場合は、有効期間満了前であっても、利用者さんは認定区分変更の申請ができます。
認定区分の変更が認められると、介護事業所は新たな要介護度に合わせた請求をしなければなりません。
では、月の途中で要介護度の区分変更があった場合、介護事業所はどのように請求をすればよいのでしょうか?
「 区分支給限度額は、重い方の要介護度を適用 」
訪問サービス区分の支給限度額管理の期間は、要介護・要支援認定の有効期間に係る日が属する月について、それぞれ該当月の初月から末日までの1カ月間となっています。
そのため、月途中で要介護状態区分が変更になった場合、重い方の要介護度に応じた支給限度基準額が適用されます。
例)9月20日に介護度が「要介護2」→「要介護3」に変更になった場合 |
「 介護報酬請求は、該当サービスを提供した時点での要介護度を適用 」
介護報酬は、当該サービスを提供した時点で発生し、月毎にまとめて請求するというイメージです。
そのため、月途中で要介護状態区分が変更になった場合は、サービスを提供した時点における要介護度に応じて算定します。
例)9月20日に介護度が「要介護2」→「要介護3」に変更になった場合 |
同一のサービスを提供していても、介護度によってサービスコードと単位数が異なる場合があるので、注意が必要です。
また、居宅介護支援は月毎に単位数を算定するため、月末時点の介護度に応じた単位数を請求します。
*要介護度の区分変更申請中の場合
→新たな要介護度が確定していないため、当該月の介護報酬請求については、要介護度の結果が分かった後に行う(確定のタイミングにより、月遅れ請求となる)
「 要支援から要介護へ区分変更になった場合の請求方法 」
要支援から要介護へ変更になった場合、介護給付費明細書そのものが異なるため、別々の請求となります。
また、日割り対象となる月額報酬対象サービス(例:介護予防通所リハ、介護予防小規模多機能型居宅介護、総合事業、介護予防福祉用具貸与等)は、日割り計算で算定します。
それ以外のサービスは日割り対象とならないため、月額包括報酬で算定します。
《 日割りの算定方法 》
本来、月額で算定するサービスを日割りするため、実際に利用した日数ではなく、要支援状態であった期間の日数を単位数に乗じて計算します。
例)提供サービス : 介護予防通所リハ → 通所リハ(病院又は診療所2時間未満)へ変更 |
この場合、介護予防通所リハの日割り計算用の単位数は、1日につき132単位です。
この単位数に、要支援状態であった20日分を乗じて計算するので、要支援での請求は下記の通りになります。
『 132単位×20日=2640単位 』
また、要介護1の通所リハ(病院又は診療所2時間未満)の単位数は、1回につき366単位です。
この単位数に、利用回数2回を乗じて計算するので、要介護での請求は下記の通りになります。
『 366単位×2回=732単位 』
このように、要支援から要介護へ区分変更になった場合は、いつまで要支援状態だったかが重要です。
*施設等で、月の途中に区分変更があった場合
→ 要支援から要介護へ区分変更した日が入退去日となる
月途中の区分変更について説明してきましたが、これらの注意点はごく一部です。
例えば、福祉用具については、日割り計算が上記の例とは少々異なります。また、利用者さんが月の途中でほかの保険者に転出する場合も、算定方法が変わってきます。
*参考資料:介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(確定版)(令和3年3月31日事務連絡) → 月額包括報酬の日割り請求にかかる適用
要介護度の区分変更に限らず、返戻などで請求がうまく通らない原因は、利用者さんの状況が前月と異なっているにもかからず、前月のままで請求していることが大半です。
利用者さんの状況変更で一番多いものが介護度です。毎月、利用者情報に変更がないかをしっかり確認しましょう。
そうは言っても、介護保険の請求はなかなか煩雑で難しいことが多いかと思います。
限りある時間の中で、返戻にならないよう、請求業務について長々と調べるよりも、アウトソーシング(一部の業務を社外から調達すること)を考えてみてはいかがでしょうか?
北日本ケアサポートでは、介護保険や障がい福祉の請求代行を得意としています。ご質問やご相談なども承っていますので、お気軽にご連絡ください。
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