看取りとは? 不安を解消! 介護施設・在宅でのケアの考え方や進め方 No.3
『介護現場で使える看取りケア便利帖』
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
前回は、具体的な看取りケアの進め方についてをご紹介しました。
今回は、自宅における看取りについてご紹介したいと思います。
2017年3月の厚生労働省の意見交換資料によると、「最期まで自宅で療養したい」と回答した国民は1割でした。
これは私の個人的な感想ですが……、この1割という数字は、本当は最期まで自宅に居たいものの、家族に負担をかけたくない、容体の急変が怖い、という潜在的な不安の表れではないかと思いました。
言い換えれば、こうした不安を取り除けば、最期まで自宅で療養したいと希望される方が、もっと増えるのではないかと思うのです。
・自宅での看取りの現状
『介護現場で使える看取りケア便利帖』によると、自宅での看取りを支えるのは、地域医療・介護連携という多機関・多職種が協働する仕組みだそうです。
その中で特に大きな役割を果たすのが「訪問看護ステーション」であり、訪問看護師であるとのこと。
実は、全国訪問看護事業協会「訪問看護アクションプラン2025」で公開されている訪問看護ステーションの利用者の死亡場所は、在宅で亡くなっている方が56.3%となっています。(ちなみに、このデータの比較として載っていた、在宅で亡くなっている方は全国平均12.9%です)
利用者さんの最期が近づいていることの説明は、施設と同様に医師が行います。
緊急時の対応は、かかりつけ医や訪問看護師がオンコール体制で対応します。そのため、施設と同じく、緊急時の連絡先・連絡方法を事前に決め、家族や介護ヘルパーなどに伝えておくことが重要です。
・自宅での看取りを行う家族への支援
施設での看取りと自宅とで大きく異なる点が、ご家族の心身に大きな負担がかかることです。
自宅で看取ると決めたものの、刻々と変化する利用者さんの容体を見続けるご家族は、迷いや不安が最期まで付きまとい、心が揺れ動きます。それに加えて、介護による身体的な負担も大きくなっていきます。
こうしたご家族の支えとなるのが、医療職や介護職の存在です。
利用者さんの容体が変わった時の連絡・相談先を明記したものを渡し、訪問時に困っていることや不安に思っていることなど、こまめに声をかけて丁寧に対応していきます。その際、利用者さんのそばではなく、帰りがけに玄関先で聞くなどの工夫をするとよいそうです。
利用者さんの状態の変化から看取り、エンゼルケアまでの流れは、施設と大きく変わりません。その間、ご家族が利用者さんとゆっくりお別れが出来るように配慮し、はげましやねぎらいの言葉をかけます。
在宅療養や看取りを通し、ご家族と医療・介護職の間に一体感が生まれていると、ご家族は「自分たちで看取った」という大きな満足感を感じやすいそうです。
・救急車を呼ばないという選択
自宅で看取ると決めていても、利用者さんの急変に動転したご家族が、救急車を呼んでしまうことが少なくありません。
しかし、救急車を呼ぶことは「できる限りの救命処置を行う」ことを意味します。そして救命措置による機器類が付けられると、それらを外すのは倫理的に困難となります。
つまり、救急車を呼んでしまうと、自宅で静かに臨終を見守ることが叶わなくなるのです。
このような状況にならないためにも、臨終時にあらわれる利用者さんの状態変化は、自然なことだということや、救急車を呼ぶことの意味をご家族に伝え、理解してもらうことが不可欠です。
それに加え、先ほどもお伝えしたように、利用者さんの状態が変化した際の連絡先を明記して渡しておくことも重要です。
また、「看取りケア計画書」に「救急搬送しない」と明記し、関係者全員で共有しておきましょう。
このほかにも、『介護現場で使える看取りケア便利帖』では、死亡時の手続きや介護職員の看取りに関する教育やケアなどが記載されており、介護スタッフの不安も解消できる内容となっていると思います。
厚生労働省は2021年4月の介護報酬改定で、看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実を掲げています。
これはつまり、QOD(Quairity of Death=質の高い死)の向上を重視し、悔いのない最期を支援する姿勢を示している、とも言えます。
そのため介護事業所では、基本報酬や看取りに係る加算の算定要件において「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行う必要があります。
*各施設等での看取り介護加算の新設、訪問介護に係る2時間ルールの変更(看取りによるものに限る)があります。詳細は「令和3年介護報酬改定における改定事項について」の14ページ以降を参考にしてください。
北日本ケアサポートでは、介護スタッフの皆さまが利用者さんやご家族に集中して寄り添えるよう、介護請求や事務の代行を行っています。
介護請求等でお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。
以上、北日本ケアサポートでした♪