看取りとは? 不安を解消! 介護施設・在宅でのケアの考え方や進め方 No.2
『介護現場で使える看取りケア便利帖』
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
前回は、介護施設や訪問介護等での看取りケアの考え方をご紹介しました。
*前回はこちら→看取りとは? 不安を解消! 介護施設・在宅でのケアの考え方や進め方 No.1
今回は、具体的な看取りケアの進め方についてご紹介したいと思います。
前回もお伝えしましたが、看取りケアは介護施設側と利用者さん、そのご家族の認識を一致させておく必要があります。
2021年の介護報酬改定では、看取り介護加算が死亡日以前30日前→45日前から算定できるようになりました。これは、看取り期での利用者さん本人やご家族の意向を、早い段階から慎重に確認して看取りケアを提供するように、という国の方針であるとも読み取れます。
1)看取りケアを実施するための、実施体制の確立と『指針』の策定
『介護現場で使える看取りケア便利帖』によると、介護施設における考え方や方針の明確化は、施設として統一した対応を行うために必要不可欠、と書かれてあります。
また、看取りの具体的なケアの内容や範囲を文章で明らかにすることは、利用者さんやご家族の安心にもつながります。
そして、この「看取り介護に関する指針」の策定と、利用者さんまたはご家族に同意を得ることは、看取り介護加算の算定要件でもあります。
2)入所時の説明と事前の意向確認
本によると、入所時に施設サービスを利用するにあたっての説明や契約内容、重要事項の説明と同じタイミングで「看取り介護に関する指針」の説明を行うそうです。
*この際に、介護保険で定められている看取り介護加算が算定されることも説明しておきます
しかし、入所時の利用者さんはある程度元気で、新たな生活環境でどう暮らしていくかを考えている最中です。そんなときに『死』を連想させる話を施設側からされると、利用者さんもご家族も抵抗を感じるかもしれません。
介護施設側は、利用者さんやご家族の気持ちに配慮しながら、利用者さんの状況が一変することがあり得るという事実を説明することが重要であると、本には書かれています。
また、利用者さんが最期をどこで迎えたいか、心臓や呼吸が止まった時の対応などの意向が分かる「事前の意向確認書」などを用意しておくと、利用者さんとご家族が具体的に話し合う契機になるそうです。
3)看取りケア実施に向けた最終確認
利用者さんが医学的に回復の見込めない衰弱期に入ると、医師の判断で看取りケアへ移行します。
常駐する医師がいない施設の場合、利用者さんの衰弱の兆候は、現場のスタッフが気づくはずです。その兆候をいち早く察知し、適切なタイミングで医師に報告するために、利用者さんの状況に関する「気づきシート」などを作成しておくとよいそうです。
そして回復の見込みがないと判断されると、医師がご家族に対して説明を行います。
その後、看取りケアへの移行をご家族が希望した場合、「看取り介護に関する指針」の内容をもう一度説明し、「看取り介護についての同意書」で最終確認を行います。
この一連の流れは、看取り介護加算の算定要件にも関わります。最終確認の際、看取り介護加算の話も再度伝えたほうがよいそうです。
4)永眠時とそのあとの対応
介護施設での看取りケアでは、延命のための医学的措置は行わないそうです。
バイタルサインが確認できなくなったら、ほかのスタッフや看護師を呼び、心肺停止であることを再度確認して、緊急時対応マニュアルに従い、ご家族や医師などに連絡します。
本では、死亡診断を行えるのは医師のみであるため、死亡診断前に「死亡」「永眠」「逝去」といった言葉を使うのは避けたほうがよい、とを書いてありました。
エンゼルケアは、利用者さんとご家族のお別れがすんでから行います。ご家族の依頼があれば、葬儀業者への連絡も行うそうです。
その後、数日が経ち落ち着いた頃にデスカンファレンス(死後のカンファレンス)を実施します。
可能であればご家族にも参加してもらい、介護施設のスタッフと語り合っていただくことが理想です。なぜなら、ご家族のグリーフケア(悲嘆から立ち直るケア)も看取りケアの一環だからです。
また、施設スタッフもご家族と語らうことでスタッフ自身のグリーフケアにもなり、今後の看取りケアの質の向上にもつながります。
ご紹介してきた看取りケアの中で使う書類のひな形は、前回の記事の末尾でもご紹介した『介護現場で使える看取りケア便利帖』の発行所のサイトから、無料でダウンロードできます。忙しい業務の中で書類等を一から作る必要がないため、とても便利だと思います。
介護施設での看取りケアは、入所時から利用者さんの状態が変化するたびに、ご本人とご家族の意向を何度も何度も確認し、慎重に進めていく必要があると、本の内容を通して強く感じました。
私が利用者や家族の立場であれば、終末期へ向かう不安の中、スタッフの方が細かく気に掛けてくれることほど心強いものはないと思います。
次回は、自宅における看取りについてご紹介します。
以上、北日本ケアサポートでした♪