看取りとは? 不安を解消! 介護施設・在宅でのケアの考え方や進め方 No.1
『介護現場で使える看取りケア便利帖』
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
超高齢化社会である日本。今後、介護施設や在宅での看取りが増加していくのは、疑いのない事実であり、介護現場で働く方々も実感しているのではないでしょうか。
2017年3月の厚生労働省の意見交換資料によると、年間でお亡くなりになる方は、右肩上がりに推移し、2040年にピークを迎えるとされています。その後も2015年に比べ、高い死亡数が10年以上続くと予測されています。
また厚生労働省の資料によると、国際的に見て、日本は病院での死亡率が突出して高く、介護老人保健施設や自宅での死亡率は格段に少ないのが現状です。
同資料によれば、終末期の療養場所に関する調査を行ったところ、「最期まで自宅で療養したい」と回答した国民は約1割でした。これに「自宅で療養し、必要となれば医療機関等を利用したいと」回答した方の割合を合わせると、約6割の国民はある程度の時期までは「自宅で療養したい」と考えているようです。
2021年の介護報酬改定では、看取りに関する新たな加算が新設されています。
このことから、国の政策として、医療機関から介護施設・在宅での看取りへの移行を促している、と読み取れるのではないでしょうか。
それはつまり、介護施設や訪問介護等での看取り対応の充実が必然となっている、とも言えます。
前置きが少し長くなりましたが、今回ご紹介する書籍『介護現場で使える看取りケア便利帖』では、看取りの基本が学べる内容となっています。
介護現場で……となっていますが、在宅での看取りの解説もあり、私もぜひ学びたいと思いました。
・「死」は日常生活の延長上にあるもの
当たり前と言えばそうなのですが、「死」は誰にでも必ず訪れるものです。
特に高齢者施設や在宅介護においての「死」は、特別なことではなく、日々の生活の延長上にあると言えます。
本によると、看取り期とは「近い将来、死が避けられない」と判断されたときから、死亡までの間と書かれています。「近い将来、死が避けられない」と判断するのは、医師が医学的知見から行いますが、その認識を施設スタッフとご家族がしっかり共有する必要があるそうです。
そして看取りケアは、単に死の瞬間に立ち会ったり、介護ケアを行ったりするのではなく、利用者さんご本人やご家族が悔いのない最期を迎えられるような支援を目指さなければならない、と書かれていました。
このことから、介護職員の方は、利用者さんだけではなく、そのご家族のケアも看取りケアの対象と考えなければなりません。
なぜなら、ご家族は看取りケアチームの一員であり、利用者さんが最期まで自分らしく安らかな気持ちで過ごすために大きな力を発揮する存在でもあるからです。
また看取りケアは、利用者さんが亡くなった後のグリーフケア(家族の悲しみのケア)も含まれるそうです。
・適切な時期に適切なケアを提供する
本では、利用者さんが介護施設に入所したときから最期を迎えるまでを「入所期」「安定期」「急性増悪期」「回復期」「衰弱期」「終末(死別)期」の6ステージに分け、各ステージの特徴とアセスメントや支援のポイントを解説しています。
利用者さんの身体的変化を客観的に評価し、今、どのステージにいるかを把握すれば、今後の見通しを立てて必要な準備をしたり、介護施設側からご家族へタイミングよく説明を行ったりすることも可能となるそうです。
このように、ご家族を含めた介護チームが認識を一致させておくことで、適切な時期に適切なケアを利用者さんに提供できるうえに、不安軽減にもつながります。
ご家族と同様に介護職員の方も、終末期へ向かう利用者さんの身体的変化に、戸惑いや過剰な恐れ、不安を抱いてしまうかもしれません。しかし、上記の6ステージにおける適切なケアを体系的に学ぶことで、自信をもって責務を果たせるはずです。
また介護施設としても、看取りケアにおける明確な理念を提示し、統一した手順を示すことで、介護職員の方が個々に判断することなく、利用者さんへの一定レベルのケアを提供できます。
このほかにも、『介護現場で使える看取りケア便利帖』では、介護職員の方への教育と職員の方に行うグリーフケアなども分かりやすく解説されています。
この本の素晴らしいところは、素人の私でも理解しやすく説明されており、さらに「実績シート」という看取りケアの実務で使える書類のひな形が無料でダウンロードできる点です。
次回は、看取りケアの進め方についてご紹介したいと思います。
以上、北日本ケアサポートでした♪