辞める動機を作らせない! 介護現場におけるトップが行うマネジメントとは?
『「人が辞めない」介護現場のしくみの作り方』

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 今回ご紹介する『「人が辞めない」介護現場のしくみの作り方』は、施設長・介護リーダーのためのマネジメント超入門の書籍です。

 人材不足が常態化している介護職は、仕事として選ばれづらいうえに、離職率が高いことも問題視されています。
 では、ある日突然介護職員が辞めると、介護現場はどうなるでしょうか?


 当然、現場は大混乱に陥ります。
 まず、退職した介護職員は利用者の介護に関する細かなノウハウを熟知しているため、引継ぎでは補えない情報が消失します。
 さらに、利用者にとっても、新たな介護職員と一から関係を築くことにストレスを感じる方もいることでしょう。
 また、慢性的な人材不足により介護職員の補充が進まず、残った職員に過度の負担がかかり、連鎖的に職員が退職することも考えられます。

 最悪の場合、たった1人の退職が引き金となり、介護事業そのものの存続が危うくなるという可能性もあるのです。
 このような事態にならないために、施設長・介護リーダーは、人が辞めづらい介護現場の環境を整えることが責務であるといえます。

goodjob

介護現場から人が辞めていく原因は何か?

 一般的に退職理由としてよく挙げられるのは、『 職場の人間関係に問題があった 』ではないでしょうか。
 介護職も同様で、書籍をさらに読み解くと、優秀な人材ほど適正な評価が得られていない と感じて退職するようです。

 しかし退職者は、本音の理由を言って辞めていくことはほとんどありません。
 私自身も、職場に対する不満を述べることなく退職した経験があります。そのような経験を持っている方は、少なからずいらっしゃるはずです。

 では、他と比べて離職率が高い介護現場は、どのような状況になっているのでしょうか?

 この書籍によると、離職率が高い施設長など現場のリーダーは、介護技術さえ身につけていれば、役に立つ人材と考えている方が多いそうです。
 トップがこのような考えの介護現場では、以下のようなことが起こるようです。

  • 三大介護(「排泄」「入浴」「食事」の介助)が円滑に行われることだけに、目を向けがちになる
  • 1日の時間軸に縛られた業務メニューをこなすことだけに精一杯で、利用者とのコミュニケーションがおろそかになる
  • 利用者(特に認知症の方)に対し、「指示することが介護の基本」であるかような誤った介護を行う


 これは、書籍の中からごく一部を抜粋しています。
 総じて言いえることは、離職率が高い介護現場では、介護者の都合による、横着極まりない介護が平然と行われている。そして、施設長や現場のリーダーは見て見ぬふりであるようなのです。

 これはもはや、介護とは言えないと思うのですが、皆さんはどう考えますか?

考え込む

 本来、介護の目的は、要介護者の自己実現を支援し、自分らしい生活を送らせることです。
 その実現には、介護者と利用者とのコミュニケーションが必要不可欠です。

 優秀な介護職員は、利用者とのコミュニケーションを大切にしながら、利用者の生活支援に熱心です。
 しかし、「横着」な介護を良しとする介護現場では、利用者とのコミュニケーションを重視することが、かえって介護業務の停滞と遅延をもたらすという間違った認識を持っているようです。

 結果、適切な評価を得られない『優秀な介護職員』は無力感を募らせ、職場に対する愛着が消えてしまい、最終的には離職を選択します。
 なにせ、介護職は人材不足。離職しても転職先には事欠きませんので、優秀な人材ほど決断は早いかもしれませんね。

 トップと呼ばれる立場の方は、介護職員の定着率が悪い場合、それはなぜか? を考えことも重要な仕事だと思うのです。そして、その答えは『 介護現場 』にあるはずです。

優秀な介護職員の離職を食い止めるポイントは『 介護マネジメント 』

 この書籍によると、離職率が高い施設の共通点が挙げられていました。

  1. 施設長が現場とかかわりを持っていない
  2. 職員の配置が行き当たりばったりで、ユニットやフロアの人数構成に能力や経験が配慮されず、夜勤が可能かどうかだけで決められている
  3. 人材の確保に人材派遣会社を多く利用している(欠員を補充しているだけ)
  4. 『 派閥 』のような集団があり、チームケアが機能していない

 
 つまり、介護マネジメントがまったく機能していないため、優秀な介護職員の離職につながっているようです。
 裏を返せば、介護マネジメントがきちんと機能していれば離職率は下がる、となります。


 ではここで、『 マネジメント 』の目的と役割を、あらためて考えてみましょう。
 マネジメントという言葉が有名になったのは、2009年に刊行された『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』ではないでしょうか?

 経営学者ドラッカーの定義をもとに、マネジメントを説明すると以下のようになります。

マネジメントの目的 

→ 設定した目標に沿って組織を運営すること

マネジメントの役割

→ 組織の「目標・案件・プロセス」を管理することで、組織の目標を達成すること

 介護現場において、このマネジメントを実践している施設長・リーダーはどれほどいらっしゃるのでしょうか?

OODAループ

 書籍を読むと、離職率の低い介護施設は、職員を大切にしているように思います(当然と言えばそうなのですが……)
 無駄な会議が少なく、職員同士の情報交換やコミュニケーションは、タブレットやインカムなどICTを積極的に利用しているそうです。
 そして施設長は、こまめに現場とのかかわりを持ち、法人の方針として、収益の余剰分を職員のために使うという徹底した職員重視の運営であるとのことです。

 
 書籍によると、すでに、特養をはじめ、介護施設の淘汰が進行しているそうです。

 今は、インターネットやSNSで情報を取得する時代です。
 もし自分の親を施設へ入れるとなれば、介護施設の情報を徹底的に調べることでしょう。
 つまり、目には見えない外部から、介護施設の清潔度から、介護職員の言葉遣いや態度、身なりに至るまで、いつの間にか厳しくチェックされているのです。

 

 冒頭で、「たった1人の退職が引き金となり、介護事業そのもの継続が危うくなるという可能性もある」とお伝えしました。

 優秀な職員がいなくなる → ほかの職員の負担が増す → 人材募集で人が集まらない → 介護の質が低下する → 介護施設の質が低下する → 利用者が減る → 経営が悪化する → 職員が退職する → ……

 この悪循環を止めるには、書籍のタイトル通り、施設長や現場リーダー「人が辞めない」介護現場をいかに作るか、に尽きるのです。
「それは分かっているけれど、どう改善して良いか分からない!」
 事業所のトップの方々から、そんな声が聞こえてきそうです……💦

 そこで次回は、『「人が辞めない」介護現場のしくみの作り方』から、人が辞めない介護現場の環境や魅力づくりをご紹介したいと思います。

 以上、北日本ケアサポートでした♪
 *この記事は2021年1月25日28日投稿の内容を改変しています

*次回はこちら→辞める動機を作らせない! 介護現場におけるトップが行うマネジメントとは? No.2