【介護保険制度の基礎知識】支給限度基準額は全部で4種類。それぞれの限度基準額の仕組みと注意点を解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
弊社は、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社です。
介護保険サービスは、際限なく利用できるわけではありません。限られた財源の中で、要介護度や利用する介護保険サービスに応じて利用限度額が定められています。
この利用限度額を『支給限度基準額』と呼びます。
支給限度基準額……特に、区分支給限度基準額は介護事業者が国保連へ請求する際にも気にすべきものです。
では、この支給限度基準額とはどのようなものかを解説していきます。

・支給限度基準額の種類
支給限度基準額には、4つのカテゴリーがあります。
①区分支給限度基準額
②福祉用具購入費支給限度基準額
③住宅改修費支給限度基準額
④種類支給限度基準額
支給限度基準額と区分支給限度基準額は、何となく似たような内容に思えるため混同されやすい気がします。
ですが正確には、『支給限度基準額』というカテゴリーの中に『区分支給限度基準額』があります。
では、それぞれのカテゴリーについて解説していきます。
区分支給限度基準額
訪問介護サービスなどの介護保険サービスにおいて、利用者の要介護度によって、1カ月に利用できる介護保険サービスの上限単位数が定められています。
これが『区分支給限度基準額(=区分支給限度額)』と呼ばれるものです。
| 要介護度 | 限度額(単位) |
| 要支援1 | 5,032単位/月 |
| 要支援2 | 10,531単位/月 |
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要介護1 |
16,765単位/月 |
| 要介護2 | 19,705単位/月 |
| 要介護3 | 27,048単位/月 |
| 要介護4 | 30,938単位/月 |
| 要介護5 | 36,217単位/月 |
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※2025年度現在 |
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上記の区分支給限度基準額は、居宅介護サービスに対しての限度額です。
この限度額を超えて居宅介護サービスを利用する場合、超えた分は介護保険の適用外となり、保険適用外の全額を利用者が負担しなければいけません。
ちなみに、円換算する場合は1単位=10円を目安に考えると良いでしょう。
ただし、地域によって人件費や物価が異なるため、1単位当たりの地区別単価が設けられています。そのため、必ずしも1単位=10円になるとは限りません。
また、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護サービスの場合、区分支給限度基準額が居宅介護サービスとは異なります。
外部サービス利用型特定施設入居者生活介護サービスとは、特定施設入居者生活介護のサービス形態の1つです。
特定施設の事業者が外部の居宅サービス事業者と委託契約を結び、その居宅サービス事業者が特定施設の入居者に介護サービスを提供するという形態です。
区分支給限度基準額には、特別地域加算や介護職員等処遇改善加算など、限度額に含まれない費用があります。
介護事業者は、国保連へ介護報酬を請求する際に、どの加算が限度額に含まれないのかを把握しておく必要があります。

福祉用具購入費支給限度基準額
利用者は、貸与になじまない福祉用具(入浴や排せつに用いるもの)を、福祉用具販売指定を受けた事業者から購入します。
その購入費は、利用者が全額を一旦支払います。その後、費用の9割(一定以上の所得者は8割or7割)が介護保険から利用者へ払い戻されます。これを『償還払い』と言います。
償還払いのほかに、『受領委任払い』(利用者が一部を払い、残りを事業者が市町村へ請求する)という方法もありますが、その扱いがあるかは自治体に確認したほうが良いでしょう
福祉用具購入費には支給限度基準額が設けられており、限度額は年間10万円までです。
注意点は、利用者に最大10万円が介護保険から払い戻されるわけではないということです。
![]() |
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※厚生労働省:特定福祉用具販売 参照 |
このように、利用者の負担額+保険給付を含めた支給限度額が10万円なのです。
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福祉用具販売の対象は以下の9品目です。 |
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| 腰掛便座 |
自動排泄処理装置の 交換可能部品 |
排せつ予測機器 |
| 入浴補助用具 | 簡易浴槽 |
移動リフトの つり具の部品 |
| 固定用スロープ |
歩行器 ※歩行車は除く |
歩行補助つえ ※松葉杖は除く |
介護保険を使っての購入は、基本的に1品目につき1回までです。
ただし、固定用スロープなど複数個の利用が想定されるものについては、例外的に複数個の購入が可能な場合があります。
【福祉用具購入の申請手続きの流れ】
①介護支援専門員(ケアマネジャー)・福祉用具専門相談員への相談
②指定業者から福祉用具を購入・代金の支払い
③市区町村への支給申請
④支給決定
保険給付の対象となる福祉用具の製品は、市区町村によってあらかじめ決められている場合があります。必ず、申請先の市区町村に確認してください。
※参考:柏原市『特定(介護予防)福祉用具購入費の支給を受けるためには』
※参考:札幌市『福祉用具貸与(レンタル)、福祉用具購入、住宅改修』

住宅改修費支給限度基準額
要介護(要支援)認定を受けている方が居住する住宅に手すりやスロープ、引き戸等への扉の取替えなどの改修費用の一部を、介護保険が負担します。
住宅改修費にも支給限度額基準があり、1人につき20万円が支給限度額です。
住宅改修費の支給限度額も、福祉用具購入と同様に、利用者負担+保険給付を含めて20万円が限度額となるので注意が必要です。
ちなみに、住宅改修費支給限度基準額には『リセット(再支給)』という特性があります。
適用要件は以下の通りです。
| ・転居した場合 |
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→住民票の移動を伴う移動の場合、転居先の改修費として再び20万円の給付が受けられる |
| ・要介護区分が3段階以上重くなった場合 |
|
→これは要介護度ではなく、例えば、要支援1→要介護3以上になった時に再び20万円の給付が受けられる |
また、住宅改修費の支給を受けるためには、工事着工前に市区町村への申請が必要です。
申請前に行った工事は支給の対象外です。
完成した改修内容によっては、住宅修繕費の対象とならない場合もあります。
そのほかにも工事内容の変更届など注意すべき点がありますので、必ず市区町村のサイトを確認してください。
※参考:柏原市『柏原市介護保険 住宅改修の手引き』
種類支給限度基準額
在宅サービスの単一の種類ごとに、市町村の判断により定められるのが種類支給限度基準額です。
例えば……ある利用者について、区分支給限度基準額が20万円、訪問介護の市町村の種類支給限度基準額が10万円であった場合
→訪問介護をなるべく多く利用したい際は、種類支給限度基準額の10万を訪問介護にあて、区分支給限度額の残りの10万円で、ほかの居宅介護サービスを受けられます。
ただし、この制度は市町村の判断に委ねられており、現在はほとんどの自治体で機能していない制度です。

さて、支給限度基準額について説明してきましたが、限度額を超えた場合、利用者の負担はどうなるのでしょうか?
超過分の費用は、利用者が全額自己負担しなければいけません。
ですが、一カ月あたりの利用者負担額が定めらえた額を超えた場合『高額介護(予防)サービス費支給制度』によって、保険者が超過分を払い戻す制度があります。
ただし、高額介護(予防)サービス費支給制度は、特定福祉用具購入や住宅改修など、対象外の介護サービスがあります。
住宅改修費は高額になりやすいため、あっという間に支給限度基準額を超えてしまうケースが多いようです。
そうならないためにも、ケアマネジャーや自治体と何を優先すべきかなどをよく相談する必要があります。
介護事業所にとっても、国保連へ請求する際や利用者へ請求する際に、利用者の負担額を把握しておかなければいけません。
弊社北日本ケアサポートは、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社ですが、利用者への請求書・領収書の作成や郵送作業も承っております。
介護の仕事に専念できるよう、お客様のニーズに合わせて代行のお仕事を自由にカスタマイズしていただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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