『介護保険負担割合証』と『介護保険負担限度額認定証』の確認を怠ると介護事業所は返戻や過誤請求、利用者への請求訂正など負担大!
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
今年も8月が近づいてきましたね。介護事業所は、この時期に忘れてはならないことがあります。
それが、更新分の『介護保険負担割合証』と『介護保険負担限度額認定証』の確認です。
介護保険負担割合証も介護保険負担限度額認定証も、適用期間は基本的に当年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。※新規申請の場合は適用期間の開始年月日が異なります
さらに、介護保険負担割合証は介護保険サービスの利用者全員分の確認が必要です。
介護報酬の請求時期に慌てて確認することがないよう、余裕を持って事前に準備しておきましょう。
では、『介護保険負担割合証』と『介護保険負担限度額認定証』について解説していきます。
・介護保険負担割合証とは
介護保険サービスの利用者は、所得に応じて介護報酬の1~3割をサービス利用料として負担します。
介護保険負担割合証は、利用者がどの負担割合に該当するかを記載した証明書です。
そして介護事業所は、介護保険負担割合を基に介護報酬を国保と利用者へ請求します。
例えば、利用者の介護保険負担割合が1割から2割へ変更されていたら、おのずと請求額も変わりますよね?
このことからも、介護保険負担割合証の確認の重要性がお分かりいただけると思います。
介護保険負担割合証:更新の仕組み
介護保険負担割合証の適用期間は、基本的に当年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。
要介護・要支援の認定を受けている利用者は、特別な手続きをすることなく介護保険負担割合証が自動で更新されます。
更新分の介護保険負担割合証は、期限切れ前の7月中に保険者(市区町村)から発送されますが、発送のタイミングは以下のように各自治体によって異なります。
・札幌市 7月下旬
・仙台市 7月中旬
・神戸市 7月中旬
※大まかな発送のタイミングは、各自治体のサイトでご確認ください
各自治体によって介護保険負担割合証の発送のタイミングが異なっていても、有効期限は基本的に7月31日までと決まっていることには変わりありません。
もし、介護保険負担割合証が届かない利用者がいる場合、介護事業所は利用者に保険者(住んでいる市区町村)へ確認するように伝えください。
参考までに……
利用者の介護保険負担割合は所得に応じて決定する旨を書きましたが、厚生労働省から負担割合に関するリーフレットが公表されています。
※厚生労働省:負担割合リーフレット
・介護保険負担限度額認定証とは
介護保険施設やショートステイ(短期入所生活介護、短期入所療養介護)を利用した場合、通常は、食費と居住費は利用者が全額負担します。
『介護保険負担限度額認定証』は、一定の要件を満たす低所得者に対し、食費と居住費の負担を軽減する際に交付される証明書です。
介護保険負担限度額認定証も、介護保険負担割合証と同様に、国保連や利用者への介護報酬の請求に大きく関わってきます。
そのため介護事業所は、利用者の介護保険限度額認定証の更新や新規交付の有無を確認する必要があるのです。
介護保険負担限度額認定証:更新の仕組み
介護負担限度額認定証の適用期間は、基本的に当年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。
最も注意すべきは、介護保険負担限度額認定証は自動更新されない、という点です。
※更新の場合、遅くとも6月下旬には自治体から更新のお知らせが届くようです
介護保険負担限度額認定の要件は、利用者の所得状況だけではなく、世帯全員および配偶者の資産状況も関わってきます。
そのため、継続して介護保険負担限度額認定を受ける場合は更新手続きが必要なのです。
介護保険負担限度額認定証の交付の流れは、自治体が更新申請の書類を確認し、認定の有無を判断し、該当者へ認定証を発送となります。※不承認の場合も通知書が送られるようです
発送時期は各自治体によって異なり、7月下旬の地域もあれば、8月上旬~中旬以降という地域もあります。
※参考:神戸市 負担限度額認定証の申請
※参考:仙台市 仙台市総合コールセンター FAQ よくある質問と回答『介護保険負担限度額認定証』
したがって、介護事業所は8月サービス提供分(9月請求時期)までに、以下の2点を確認します。
1 | 7月末まで負担軽減を受けていた利用者の介護保険負担限度額認定証の更新状況 |
2 | 8月から新たに介護保険負担限度額認定証を交付された利用者の有無 |
介護保険負担限度額認定証は、介護保険負担割合証と発送時期が異なっている点も注意が必要ですね。
介護保険負担限度額認定の対象施設
介護保険負担限度額認定の対象施設は、介護保険施設とショートステイを提供している事業所です。
具体的には、以下の介護保険サービスが対象です。
介護老人福祉施設(特養) | 介護老人保健施設(老健) |
介護医療院 | 地域密着型介護老人福祉施設 |
短期入所生活介護 | 短期入所療養介護 |
ちなみに、介護保険負担限度額認定の対象とならない施設は、以下のものです。
・有料老人ホーム
・サービス付き高齢者住宅(サ高住)
・小規模多機能型居宅介護(小多機)
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム) など
※参照:浦安市 介護保険負担限度額認定
さて、介護事業所が8月サービス提供分(9月請求時期)までに『介護保険負担割合証』と『介護保険負担限度額認定証』を確認しないと、どうなると思いますか?
もし誤った内容で国保連へ介護報酬を請求すれば、返戻や過誤請求しなければいけません。
それだけでなく、利用者に対しても誤った金額を請求してしまいます。
正規の利用料が判明したあとは、利用者へ事情を説明し、過払い金の返金または不足金の再請求……という二度手間以上の作業をしなければいけません。
介護事業所はもとより、利用者にも負担が及ばないよう、8月サービス提供分(9月請求時期)までに『介護保険負担割合証』と『介護保険負担限度額認定証』を確実に確認しなければいけないのです。※結構しつこく書いてます(笑)
弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連請求を代行する会社です。
介護の仕事に専念できるよう、お客様のニーズに合わせ、代行内容を自由にカスタマイズしていただけます。
もちろん『介護保険負担割合証』『介護保険負担限度額認定証』の確認も国保連請求に直結しますので、確認のお声がけも都度行っております。
そのほかにも事業コンサルティングや利用者への請求書・領収書の発行など、代行サービスは多岐にわたります。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
次回は、『介護保険負担限度額認定』について、さらに詳しい内容を解説します。
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《 記事原案者 》 | |
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
《 記事加筆編集者 》 | |
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北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |