処遇改善加算等の実績報告書を書く前の事前準備や書き方のコツなどを紹介!

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 令和6年度の介護報酬改定に伴い、3種類あった処遇改善加算が一本化され『介護職員等処遇改善加算』となりました。そして、令和6年度分の処遇改善加算について報告しなければならない時期になりました。介護・障がい福祉事業所にとっては、大変な時期です……。

 さらに厄介なことに、新加算である『介護職員等処遇改善加算』令和6年6月からの施行です。そして、令和6年4月と5月は、『介護職員処遇改善加算』『介護職員等特定処遇改善加算』『介護職員等ベースアップ等支援加算』の旧加算の実績報告書が必要です。

 つまり、今年の報告書は、新加算と旧加算の2枚の提出が必要なのです。
 *新制度の移行措置とは言え、年度初めに合わせてほしいと北日本ケアサポートスタッフAは個人的には思ったり思わなかったり……

 前置きが長くなりましたが、今回は令和6年度の介護職員等処遇改善加算の実績報告書について解説していきます。

 

・実績報告書を書く前の事前準備

 皆さまも聞いたことがありませんか? 『仕事をするうえで事前準備が大切』という言葉。
 とりわけ処遇改善加算の実績報告書に関しては、事前準備で8割が完了するといっても過言ではありません。
 実績報告書の作成前に、以下のものをご用意ください。

①令和64月・5月と6月以降の共通資料

・毎月の処遇改善加算の入金額がわかる資料

・令和64月から令和73月までの賃金台帳

(賃金支払い月ではなく、あくまでも労働した月を指す)
・令和6年度処遇改善加算計画書

②令和64月・5月の処遇改善加算の実績報告書用の資料

・令和5年度の処遇改善加算区分がわかる資料
・令和64月と5月分の処遇改善加算の区分がわかる資料

③令和66月以降の処遇改善加算の実績報告書用の資料

・令和66月以降の処遇改善加算の区分がわかる資料

 処遇改善加算の実績報告書を作成している最中に「この資料は?」「あの情報は?」と探していては、作業効率が悪くなります。
 ですので、処遇改善加算の実績報告書を書く前に6月は情報収集を行い、7月に実績報告書の作成という流れにしておくとスムーズです。

 冒頭でもお伝えしたとおり、特に今年は新加算と旧加算と、確認すべき資料が数多くあります。45月の情報と6月以降の情報が混在しないよう、事前に整理しておくと良いかもしれませんね。

処遇改善加算実績報告書のポイント

 

・処遇改善加算の実績報告書の入力ポイント

 弊社北日本ケアサポートでは、処遇改善加算の実績報告書の作成も代行しております。
 実績報告書の作成時期は、作成に関してお困りの事業所からご相談をいただくのですが、作成ミスの傾向として「別紙様式3-1」から入力されている方が多いようです。

 厚生労働省や各自治体で配布している実績報告書(Excelシート)を開くと、『基本情報入力シート』の冒頭に、入力する順番が記載されています。
 順序は「基本情報入力シート」「様式3-2・3-3「様式3-1」です
*下記画像は小さくて見ずらいので、実際のExcelシートで確認してください

処遇改善加算実績報告書「基本情報入力シート」
厚生労働省:令和6年度の実績報告書(別紙様式3)入力シートより

 ちなみに、実績報告書を紙で提出する際は、基本情報入力シートは不要です。
 ただし、電子媒体で提出する際は基本情報入力シートを削除せずに提出します。なぜなら、基本情報入力シートの内容が別紙様式に反映されるので、シートを削除してしまうと別紙の記載内容に影響してしまうからです。
 このような注意点も基本情報入力シートの冒頭に記載されています。書かれてある内容は、隅々まで目を通しましょう

 

①基本情報入力シート

 特に難しい入力はありません。
 項目ごとに、入力に関する注意点などが記載されています。それらに従って入力していきましょう。特に、介護保険事業所番号や事業所名、サービス名については、他の様式に自動で転記されてしまいます。間違いのないよう、しっかり確認しながら入力していきます。

 

②別紙様式3-2(4・5月) 

 この様式は、令和5年度の加算区分令和6年4月と5月分の加算内容を入力します。
 令和5年度については、加算区分をプルダウンで選択するだけです。

 令和64月・5月については、昨年度と同じように処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援の3項目に分かれて入力します。
 該当の加算区分をプルダウンで選択し、それぞれの加算の入金額(4月と5月分)『総額』に入力していきます。

 色付きのセルに金額を入力すれば、基本情報入力シートの『 3 加算対象事業所に関する情報 』を基に、『令和6年度に増額した加算額』が自動で表示されます。

 このようなことから、基本情報入力シートは最初に入力しておかなければいけないことが分かりますね()

 また、『特定処遇改善加算』の項目では、キャリアパス要件Ⅳ:月額8万円以上か年収440万円を超えた介護職員がいた場合、その人数を入力する必要があります。
 この部分で、以下の疑問をよく尋ねられます。

小さな事業所でそこまでの賃金改善ができなかった場合、どのように記入すれば良いか?

 この場合、素直に0 を入力してください。
 すると、上部にある『キャリアパス要件Ⅳについて』×が付き「別紙3-1 3(5)に特別な事情を記入」と指示が表示されます。

処遇改善加算実績報告書キャリアパス要件

 別紙様式3-13介護職員等処遇改善加算の要件について(5)キャリアパス要件Ⅳ(改善後の給付要件)の下部に、要件が満たせなかった理由に✔を付ける、または理由を記載するところがあります。

処遇改善加算実績報告書キャリアパス要件理由

 該当する項目を選択するか、その他に理由を記載すれば右側に○が付きます。

 

③別紙様式3-3(6月以降分)

 この様式は、処遇改善加算が一本化された新加算『介護職員等処遇改善加算』の内容を入力します。つまり、令和6年6月から令和7年3月までの内容です。

 新たな処遇改善加算になってから、加算区分に変更のある事業所が多いはずです。
 該当の加算区分をプルダウンで選択する際は、旧加算の区分と混同しないよう注意してください。

 加算の区分を選択したあとは、入金額を加算の総額欄に入力します。
 そして、別紙様式3-2と同じように、賃金が上昇した人などを入力します別紙様式3-2に比べると、別紙様式3-3は一本化されたことによりシンプルな入力になっているかと思います。

 

④別紙様式3-1

 さて皆さまお待ちかね、オオトリの別紙様式3-1です()
 弊社北日本ケアサポートに相談してこられるクライアントの傾向を見ていると、別紙様式3-1での記入ミスや記入漏れなどの間違いを散見します。

 基本的な入力場所は、色付きのセルです。
 色のついていないセルには、数字が入っているはずです。なぜなら、その数字は別紙様式3-23-3から転記されたものだからです。もし、色のついていないセルで間違いを見つけた場合は、該当の様式に戻って数字などを修正してください。

 別紙様式3-1では、事業所の『支出額』を入力します。各項目をよく読んでから、金額を入力してください。
 この部分では、以下のような質問をよくされます。

処遇改善加算の支出により賃金上昇した際
社会保険料会社負担分も計上できると聞いたが、計算方法や記入はどうすれば良いか?

 厚生労働省が公表している『介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)によると、法定福利などの計算は『合理的な方法に基づく概算によることができる』と書かれています。
 つまり、根拠をもって計算しているのであれば良い、という回答です。

*厚生労働省:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A問1-7 

 例えば……

・賞与を全額、処遇改善加算の支出に充当している場合
 →賞与における社会保険料の会社負担分を全額計上すればOK

 ですが、以下の場合は注意が必要です。

・基本給の上昇を自社独自で行っている
・処遇改善加算の配分以外のところで昇給させている
 →社会保険料の上昇原因が「処遇改善加算によってのみ」とは言い難いため、社会保険料の会社負担分を全額計上できない

 法定福利等の計算で重要なのは、厚生労働省の言葉通り『根拠を持つ』ことです。

 社会保険料の会社負担分というのは、おおむね上昇金額の10%程度と言われています。
 それを根拠に処遇改善加算の支払額に対して10%を割り増して記入することを、私、鷲尾はお勧めいたします。
 もし調査が入ったとしても、全員に共通したルールであれば説明しやすいですし、計算のずれもほぼないはずです。
 処遇改善加算分だけの社会保険料の上昇金額を算出することは、なかなか難しい計算方法になってしまいます。ですので、処遇改善加算の支払額に10%を割り増しするという簡易計算方法をお勧めいたします。

処遇改善加算実績報告書の最重要ポイント

 

 令和6年度の介護職員等処遇改善加算等の実績報告書で最も重要なことは、提出前のチェックリストの項目すべてに(要件を満たす)がつくように実績報告書を作成しなければいけない、ということです。

処遇改善加算実績報告書チェックリスト

 ですが、正直に数字を入力しても、上記のように『 × 』がつくかもしれません。
 この場合は『特別事情届出書』の作成が必要です。

*厚生労働省:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A 問1-14の回答参照

 この特別事情届出書は、厚生労働省や各自治体では『別紙様式5(特別な事情に係る届出書)』という名称になっています。
 すべての項目に内容を記載していきますが、賃金にかかわることですので、労使との合意に関する内容を記載する必要があります。

 
 今回の旧加算と新加算が合わさった実績報告書は、最初で最後になるとは思います。
 ですが、処遇改善加算の実績報告書を作り慣れている私、鷲尾も、書類を見た際に「?」が浮かんできました。実績報告書を作り慣れていない方にとっては、難しい書類になっているかもしれません。
 弊社北日本ケアサポートは、国保連への介護保険また障がい福祉の請求代行を行っています。
 国保連の請求代行以外にも処遇改善加算計画書・実績報告書の作成加算・減算に関する変更届出書の作成も承っております。
 実績報告書の作成が難しいなど、困りごとがあれば一度ご相談ください。

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《 記事原案者 》
鷲尾 和巳 鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶
北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者
《 記事加筆編集者 》
北日本ケアサポートスタッフ 北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者