【介護保険制度の基礎知識】介護保険サービスごとに決められている介護報酬。金額換算や単位数の算定方法、利用者負担の仕組みを知り、介護事業所はミスなく請求を
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
弊社は、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社です。
介護サービス事業者が提供した介護保険サービスの介護報酬は、原則、保険者(市町村)から9割・介護サービス利用者から1割という内訳です。
では、介護報酬はどのような仕組みで算定されるのでしょうか? 介護保険サービスの利用者負担の仕組みと合わせて解説します。
*この内容は令和7年度現在のものです。法改正等によりサービスの統廃合・内容変更の可能性があります
・介護報酬は介護保険サービスごとに決められている
前提として、介護事業所が提供する介護保険サービスは、ケアプランに基づいて提供されます。そして、提供する介護保険サービスの内容や利用時間、要介護度などによって単位数が決められています。
介護保険サービスの単位数は国によって定められており、サービスコードという形で振り分けられています。1単位あたりの単価は、サービスの種類によって地域区分単価が決められています。
介護報酬の金額換算
以下のような計算式で、介護報酬を算定します。
サービスごとの1カ月の合計単位数 × 地域区分単価 = 介護報酬金額 (小数点以下切り捨て) |
地域区分単価は、1~7級地とその他の地域ごとに定められた上乗せ割合と介護サービスごとに定められた人件費割合から算定されます。
例えば、訪問介護で地域区分単価を比較すると……
・東京都特別区(1級地)→11.40円
・北海道札幌市(7級地)→10.21円
*令和7年度現在
各地域によって地価や物価・人件費(賃金)が異なるため、このような割合を設けています。
介護保険サービスごとに算定した単位数
単位数は『基本報酬』と『各種加算』で構成されています。
単位数の算定方法は、介護報酬の金額換算より少し複雑です。
例えば、以下の条件で介護サービスを提供したとき、どのように単位数を算定するのでしょうか? |
①訪問看護を ②訪問看護ステーションの准看護師が ③20分未満 ④夜間/早朝に 利用者に対して行った場合 |
1)介護サービスの種類が訪問看護であり、かつ、訪問看護ステーションの場合 |
訪看Ⅰ1(20分未満) → 314単位 |
2)准看護師が介護サービスを提供しているので、90%減算 |
314単位×0.90=282.6 → 283単位(小数点四捨五入) |
3)介護サービスを提供した時間帯が夜間/早朝なので、25%加算 |
283単位×1.25=353.75 → 354単位(小数点四捨五入) |
このように、減算・加算するごとに小数点四捨五入の端数処理をしてから、次の計算を行い、単位数を算定します。
ですが実際は、このような複雑な計算をする必要はありません。
例題の介護保険サービスは、厚生労働省より公表されている『介護給付費単位数等サービスコード表』に
サービスコード:131025/サービス内容:訪看Ⅰ1・准・夜/合成単位数:354単位 *令和6年度の単位数 |
と記載されています。
合成単位数とは、減算や加算をして最終的に算出した単位数のことです。
「こんな表があるなら、計算方法なんて知らなくても良いのでは?」と思いますか?
何事もそうですが、物事の仕組みを知らないと損をすると、北日本ケアサポートスタッフAは思います。
余談ですが……
先日ニュースで「裁判所から『はがき』で訴訟の通知が届いた」という詐欺の話をしていました。それを見た法学部卒のスタッフAは、ずさんな詐欺だなと思いました。
訴訟の通知は『特別送達』という封書で、本人に直接手渡されます。書留と同じ方法です。
なぜそうするかというと「受け取っていない」と相手に言わせないためです。つまり、送達の事実証明のために、送料の高い特別送達をわざわざ使うのです。訴訟は、証明がすべてですからね。
ですが、そうした仕組みを知らないと、『訴訟』という言葉に焦ってしまい、はがきに記載されている連絡先に連絡してしまいます。こうして犯罪に巻き込まれてしまうのです。
閑散休題、さて本題に戻ります。
介護サービスごとにさまざまな加算や減算があり、それらの加算・減算には個別の算定要件があります。その算定の仕方も、月1回なのか、利用日ごとなのか、利用回数ごとなのか……加算・減算ごとで異なります。
また、事業所が取得する介護職員等処遇改善加算や特定事業所加算、サービス提供体制加算などは、質の高いサービス提供や人材確保を目的とした加算で、利用者全員が対象です。
加算・減算の解釈を誤った状態で国保連へ介護報酬を請求すると、返戻や過誤申請となる場合があります。介護事業所としては、なるべく避けたい事態ですよね。
・介護報酬の利用者負担とは?
介護保険サービスの利用者は、所得に応じて介護報酬の1~3割をサービス利用料として負担します。
ただし、介護保険サービスの種類によって利用者負担の内容が異なります。
【 居宅介護支援・介護予防支援 】 |
ケアプラン作成にあたり、介護保険からの全額給付のため利用者負担はありません。 |
【 居宅サービス 】 |
区分支給限度基準額(*)を超えない限りは1~3割の利用者負担です。 |
ただし、介護サービスによって1~3割負担の対象外があります。
・通所 → 食費・おむつ代などの日常生活費は、全額が利用者負担(原則)
・短期入所 →食費・滞在費・理美容代などの日常生活費は、全額が利用者負担(原則) ただし、おむつ代は介護保険給付に含まれる
【 施設サービス 】 |
区分支給限度基準額はなく、1~3割の利用者負担です。 |
このような日常生活費などを利用者が全額負担する場合でも『 市町村特別給付(横出しサービス) 』という市町村独自のサービスがあります。
例えば、おむつ代の支給や配食サービスなど、介護保険では給付対象外のサービスを地方自治体が提供しています。
また『 上乗せサービス 』という、居宅サービス・介護予防サービスなどの区分支給限度基準額を増額する市町村の独自サービスがあります。
このほかにも
・高額介護(予防)サービス費
・高額医療合算介護(予防)サービス費
・特定入所者介護(予防)サービス費
・社会福祉法人等による介護サービス利用者負担軽減事業
といった、利用者負担を軽減するさまざまな制度があります。利用方法については、各市町村へお問い合わせください。
冒頭でもお伝えしたとおり、介護サービス事業者が提供した介護保険サービスの介護報酬は原則、保険者(市町村)から9割・介護サービス利用者から1割という内訳です。
保険者への請求も利用者への請求も、お金に関することです。請求額を間違えると、事業所の収益に関わりますし、利用者にも迷惑が掛かってしまいます。
弊社北日本ケアサポートは、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社ですが、利用者への請求書・領収書の作成や郵送作業も承っております。
介護保険法と介護報酬の改定は、3年に1度のペースで行われます。
日々の業務と並行しながら新たな制度に対応するとなると、事業所職員にとって大きな負担になるはずです。北日本ケアサポートは、介護の仕事に専念できるようお客様のニーズに合わせて、代行のお仕事を自由にカスタマイズしていただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
《 記事原案者 》 | |
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
《 記事加筆編集者 》 | |
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北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |