2024年度障害福祉サービス等報酬改定で創設された新たな加算『専門的支援体制加算』『専門的支援実施加算』を解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
2024年の障害福祉サービス報酬改定以前は『 専門的支援加算 』と『 特別支援加算 』がありました。それらの加算が統合され、新たに『 専門的支援実施加算 』と『 専門的支援体制加算 』が創設されました。
障害福祉サービス報酬改定前と後の変更点と、その変更によりどのような影響が事業所にあるのかを解説していきます。
*本記事内では「障害」の文字が混在しますが、法令または行政サイトの表記をそのまま使っております
・専門的支援体制加算の算定要件は?
専門的支援体制加算の算定要件は―― |
専門的な支援の強化を図るため、基準の人員に加えて理学療法士等の職員を1以上配置している場合 |
*こども家庭庁:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要より |
では「理学療法士等の職員」は、どのような人たちを指すのでしょうか?
こども家庭庁の資料によると、以下の専門職員を1以上の配置(常勤換算)していることを明記しています。
理学療法士 | 作業療法士 | 言語聴覚士 | 保育士(*) |
児童指導員(*) | 心理担当職員 (心理学修了等) |
聴覚障害児支援 担当職員(研修終了等) |
保育士・児童指導員(*)の配置は、以下の条件があります。 |
・資格取得・任用から5年以上児童福祉事業に従事していること ・児童福祉事業の経験には、特別支援学校・特別支援学級・通級による指導は含まれない ・児童福祉事業の経験に、幼稚園(特別支援学校に限らない)は含まれる |
また、専門職員の配置について、常勤について配置する場合は当該職員が病気による欠勤や有給休暇を取得したとしても、配置要件が満たされます。
ただし、欠勤などが一カ月以上続く場合は、算定要件が満たされていないと判定されます。
*こども家庭庁:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1(令和6年3月 29 日)問14,問15より
・専門的支援実施加算の算定要件は?
専門的支援実施加算の算定要件は―― | |
① | 理学療法士などを1以上配置 (常勤換算ではなく単なる配置で可。基準人員等によることも可) |
② | 個別支援計画を踏まえ、理学療法士等が、専門性に基づく評価・計画に則った5領域のうち特定(又は複数)の領域に重点を置いた支援を行うための専門的支援実施計画を作成し、当該計画に基づき支援を行うこと |
③ | 計画の実施状況の把握を行うとともに、対象児の生活全般の質を向上させるための課題を把握し、必要に応じて計画の見直しを行うこと |
④ | 専門支援を実施した場合は、対象児ごとに支援記録を作成すること |
⑤ | 専門的支援の時間は、30分以上を確保すること |
⑥ | 計画の作成・見直しに当たって、対象児及び保護者に対し説明するとともに同意を得ること |
*こども家庭庁:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要より |
理学療法士などの職員は、専門的支援体制加算の専門職員と同様の考え方です。
ちなみに、外部から派遣された専門職員が専門的支援を行った場合、専門的支援実施加算は算定できません。あくまでも、事業者と雇用契約を締結している職員を指します。
また、専門的支援実施加算は、専門的支援体制加算との併算定が可能です。
算定要件に出てきた『 専門的支援実施計画 』とは、個別支援計画とは別に作成する必要とします。そして、保護者の同意が必要です。
この『 専門的支援実施計画 』の作成にあたり、以下の項目を記載することが想定されています。
・当該専門職によるアセスメントの結果 ・5領域との関係の中で、特に支援を要する領域 ・専門的な支援を行うことで、目指すべき達成目標 ・目標を達成するために行う具体的な支援の内容 ・支援の実施方法 など |
これらの項目に限らず、ニーズに応じた専門的支援に必要であると考えられる項目について記載し、質の高い専門的支援を提供する上で有効な計画の作成が求められます。
*例えば、障がい特性を踏まえた事項を記載する、個別支援計画の支援との関連性を記載するなど
《 専門的支援実施加算の限度回数 》
専門的支援実施加算には、1カ月の算定限度回数が設定されています。
専門的支援実施加算の算定限度回数は、当該事業所における対象児童の月利用日数に応じ、以下の通りです。
児童発達支援 | |
児童の月利用日数:12日未満 | 限度回数:4回 |
児童の月利用日数:12日以上 | 限度回数:6回 |
放課後等デイサービス | |
児童の月利用日数:6日未満 | 限度回数:2回 |
児童の月利用日数:12日未満 | 限度回数:4回 |
児童の月利用日数:12日以上 | 限度回数:6回 |
児童の月利用日数は、契約日数ではなく実利用日数であることに注意が必要です。
2024年度の障害福祉サービス報酬改定前の専門的支援加算は、配置基準に加え理学療法士等を配置している場合、利用者の区分ごとに算定していました。
そして、特別支援加算は理学療法士等を配置し、専門的支援を計画的に行う場合に算定が可能ですが、専門的支援加算と併せた算定ができませんでした。
しかし、専門人材の活用と利用者のニーズを踏まえた計画的な専門的支援の実施を進める観点から、旧専門的支援加算と特別支援加算を統合するに至った背景があります。
障害者総合支援法と障害福祉サービス等報酬の改定は、3年に1度のペースで行われます。
3年ごとに大きな改定があり、事務所スタッフが通常の業務を行いながら、制度の変更に対応する。これは、とても大変な作業だと思います。
弊社北日本ケアサポートは、障がい福祉サービスの国保連への請求代行を行う会社です。
また、各加算・減算に関する変更届出書作成の代行業務や事業コンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。お気軽にお問い合わせください。
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《 記事原案者 》 | |
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
《 記事加筆編集者 》 | |
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北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |