処遇改善加算計画書の提出だけでは終わらない。体制届や給与辞令、利用者との契約書などさまざまな書類の再作成が必要になる場合も
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
令和6年度がそろそろ終わりを迎えるこの時期は、処遇改善加算のことで介護事業所の頭を悩ませる時期かもしれませんね。
なぜなら『令和7年度の処遇改善加算計画書の作成』と『令和6年度の処遇改善加算実績報告書の準備』を同時進行で行う必要があるからです。
令和7年度以降は、処遇改善加算の一本化した『介護職員等処遇改善加算』が完全施行されます。
それに伴い、令和6年度中に激変緩和措置として設けられていた『介護職員等処遇改善加算Ⅴ』は廃止されます。この加算を算定していた事業所は、特に注意が必要です。
では、今年度と昨年度の何が違うのか? 処遇改善加算計画書はどのよう指揮になるのか? など、予測を含みますが解説していきます。
・令和6年度と7年度の介護職員等処遇改善加算の違い
令和6年度と令和7年度の介護職員等処遇改善加算の概要は、同じと捉えて問題はありません。
ですが、冒頭でもお伝えした通り、令和6年度は新たな加算へ移行するための経過措置期間であり、令和7年度は完全施行の年です。
加算割合も2%ほど上昇しており、その点も注意が必要です。
厚生労働省では令和7年4月からの処遇改善加算の移行ガイドがありますので、そちらを参考に、介護職員等処遇改善加算の区分に必要な算定要件を確認するのも良いかと思います。
*厚生労働省:介護職員の処遇改善・移行ガイド
・処遇改善加算計画書の提出期限
通常は、その年の2月末までに次年度の処遇改善加算計画書を提出します。
ですが、今年度(令和7年4月および5月分の算定)は、同年の4月15日までの提出期限へと変更されています。
厚生労働省:令和7年度の介護職員等処遇改善加算の取得に係る処遇改善計画書の提出期限について
提出期限は、地域によって変わる可能性があるため、詳しくは提出先の各自治体のHPなどで確認したほうが良いでしょう。
例年通りであれば、3月には令和7年度の処遇改善加算計画書のひな形のダウンロードが可能になるのではないかと思います。
・処遇改善加算の区分変更=体制届出も提出
令和7年度は『介護職員等処遇改善加算』の完全施行となるため、特に、この処遇改善加算の区分変更が多いのではないでかと思います。
処遇改善加算の区分を変更した際には、必ず『体制等状況一覧表等の届出(=体制届出)』も都道府県または市町村へ提出しなければいけません。
しかも、この体制届出の提出期日は4月1日です(*)処遇改善計画書の届出期日とは異なるため、厳重な注意が必要です。
*ただし令和7年度は、都道府県等は4月15日まで受け付けるなど柔軟な取り扱いをする旨の通達を厚生労働省が出しています。必ず、指定権者が公表している提出期日を確かめてください。
体制届出に関し、よくある間違いとして
「処遇改善加算の計画書を区分変更した用紙で提出しているので、それで区分変更が完了した」
という思い込みです。
しかし…… |
保険者は、体制届出が提出されない限り、加算の登録変更はしない |
なぜなら、そういうルールなので(苦笑)
国保連への請求代行を承っている弊社は、以前、クライアントから「今年度から処遇改善加算の区分が変更になった」という連絡を受け、4月サービス分から新たな区分で請求をしました。しかし、全件返戻となったことがあります。
原因は、上記のように「計画書を区分変更した用紙で提出しているから、保険者もそれを見て区分変更してくれるだろう」という思い込みにより、体制届出が未提出だったのです。
つまり…… |
処遇改善加算の区分の相違=利用者全員の請求額の相違 |
となるので、全件返戻という事態に陥ります。かなり怖いですよね……。
弊社の場合、国保連から連絡があり、再提出の期限をいただけたので実損害はありませんでした。ただしこれは、あくまでも国保連側が配慮してくださった結果の話です。
必ずしも、このように配慮していただけるとは限らないので、体制届出の提出を絶対に忘れないでくださいね。
・処遇改善加算の区分変更=さまざまな金額変更
処遇改善加算の区分変更による影響は、体制届の変更だけではありません。
では、そのほかに何があるのでしょうか?
企業によって異なるとは思いますが、以下のような変更が考えられます。
①社員へ分配する金額の変更
処遇改善加算を手当として固定で払っている場合、給与辞令や雇用契約書の金額を修正する必要が出てきます。
②利用者との契約書や重要事項説明書の金額変更
もし、これらの書類に利用者負担額などが記載されている場合、処遇改善加算のパーセンテージの変更で利用額も変更するため、金額修正の必要性が出てきます。
特に令和7年度は、令和6年度と同様の処遇改善加算の区分であっても、割合が変更されています。
ということは、ほぼすべての事業所でさまざまな変更が必要になるかもしれませんね。
・処遇改善加算計画書の書き方のコツ
処遇改善加算計画書はあくまで『計画』であるため、予測の部分が多くなってしまいます。
そのため、実績報告書のようにシビアになる必要はありません。
ですが、実態とかけ離れた内容を記載すると指摘が入る場合もあります。現実的な内容を記載するように注意してください。
処遇改善加算計画書を記載する際、例えば、1年間の売り上げを予測しなければ、来年度の処遇改善加算の入金額は計算されません。
では、どう予測すれば良いのでしょうか?
直近の売り上げを12倍し、スタッフの人件費も同様に12倍して、1年間の予測値とする |
この予測値は1円単位で正解することはありません。
私、鷲尾も処遇改善加算計画書を作成しますが、この数値を問題視されたことはありません。あくまでも予測なので。むしろ、予測値が正解することのほうが不自然です(笑)
重要な点は、4月以降に社員へ払っていく処遇改善加算の手当を変更したときです。計画書の数値に合わせるのではなく、変更した額で払い続けることが重要です。最終的に、処遇改善加算実績報告書に影響してくるので。
いかがでしたか? 処遇改善加算計画書そのものは、それほど難しい書類ではありません。
それよりも気にしなければいけない主な点を以下に挙げます。
・処遇改善加算計画書の提出期限 ・体制届出の提出期限 ・その他、変更届出書の提出期限 ・社員に対する処遇改善加算計画書(入金予測と社員への配分予測)の周知と掲示 ・処遇改善加算の配分を4月サービス分から行うこと ……etc. |
処遇改善加算計画書よりも、それに付随する書類の作成が多々あり、それぞれの提出期限が異なる場合もあります。
これが見落としがちなところかもしれません。
*参考資料:厚生労働省『「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和7年度分)」及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」について』
弊社北日本ケアサポートは、国保連への介護保険また障がい福祉の請求代行を行っています。
国保連の請求代行以外にも処遇改善加算計画書・実績報告書の作成や各加算・減算に関する変更届出書の作成も承っております。
それだけではなく、弊社のグループ会社が介護サービス事業所・障がい福祉サービス事業所を運営しております。その経験を基に行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
*国保連への請求代行アウトソーシングに対する、よくあるご質問
*請求代行開始までの流れ
*過去記事
・2024年度介護報酬改定 一本化する「介護職員等処遇改善加算」とは?
《 記事原案者 》 | |
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
《 記事加筆編集者 》 | |
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北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |