【介護保険制度の基礎知識】介護保険の保険者は国ではなく市町村と特別区。被保険者は全員加入が義務。そのほか、介護保険制度における保険者・被保険者について解説

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。
 弊社は、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社です。

 介護保険制度の最も基礎的な知識である保険者被保険者。きちんと理解していますか?
 医療保険制度とは異なるので、おさらいの意味も込めて再確認しましょう。

 

介護保険の保険者と被保険者

・介護保険における『保険者』とは?

 副題に答えが書かれていますが、介護保険制度の保険者『市町村と特別区』です。
 そのほかに『広域連合』『一部事務組合』が保険者の場合もあります。

広域連合とは

広域連合は、様々な広域的ニーズに柔軟かつ効率的に対応するとともに、権限委譲の受け入れ体制を整備するため、平成7年6月から施行されている制度です。

広域連合は、都道府県、市町村、特別区が設置することができ、これらの事務で広域にわたり処理することが適当であると認められるものに関し、広域計画を作成し、必要な連絡調整を図り、総合的かつ計画的に広域行政を推進します。

総務省HP引用

 つまり、財政状況などで個々の市町村では実施が困難な場合、広域の市町村で構成した団体で運営することで安定した介護保険事業を運営できる制度が広域連合です。
 例としては、沖縄県介護保険広域連合や福岡県介護保険広域連合などがあります。

一部事務組合とは

地方公共団体の事務の一部がひとつの市町村だけでは対応できない、あるいは広域で取り組んだほうが効率的であるなどの理由で設立される組合のことです。
組織的に広域連合と似ていますが、一部事務組合は事務の一部を担うのみで、国または都道府県からの権限委譲の受け入れ体制はありません。
青森県庁HP:広域連合と一部事務組合の違い参照

 介護保険制度は国が定めていますが、なぜ保険者は市町村などの地方公共団体なのでしょうか?
 それは各地域によって事情が異なるからです。介護保険制度の運営を地方に任せたほうが、地域住民のニーズに合う迅速で柔軟な対応ができるのです。

 

介護保険の保険者は地方公共団体

・介護保険における保険者の業務

 介護サービス事業者が介護給付費を請求する場合、国保連で被保険者台帳(受給者台帳)と請求明細書・給付管理票の内容を突合します。
 被保険者台帳(受給者台帳)は、毎月の介護サービス事業者の請求審査のために、保険者(市町村)が国保連へ送付しているのです。
 この被保険者台帳の管理も、保険者の業務の一環です。

 保険者の業務は、以下のように多岐に渡ります。

・被保険者の資格管理(被保険者証の発行、更新など)
・保険料の徴収
・要介護認定の実施
・介護認定審査会の設置*都道府県へ設置を委託することも可
・保険給付の審査・支払業務(国保連へ委託)
・市町村介護保険事業計画の作成
・地域密着型(介護予防)サービス事業者・介護予防支援事業者の指定および指導・監督
・介護給付費に対する負担
・居宅サービス計画・介護予防サービス計画の受付
・保険給付の償還払い業務
・保健福祉事業

 これらに加え、地域住民に対して定期的な啓発活動を行い、制度の理解を深める取り組みなども行っています。
 今後は、地域の特性や高齢化率に合わせた情報提供がますます重要となるでしょう。

・介護保険における『被保険者』とは?

 介護保険は、対象者である人は加入しなければならない強制加入の社会保険です。
 被保険者は、65歳以上第1号被保険者と40歳から65歳までの医療保険加入者第2号被保険者に分けられます。

第1号被保険者 第2号被保険者
対象者 65歳以上

40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などの医療保険加入者
(40歳になると自動的に資格を取得し、65歳になるときに自動的に第1号被保険者に切り替わる)

受給要件 ・要介護状態
・要支援状態
・要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病*1)による場合に認定

保険料の
徴収方法

・市町村と特別区が徴収
  (原則、年金からの天引き)
・65歳になった月から徴収開始

・医療保険料と一体的に徴収
・40歳になった月から徴収開始

*厚生労働省:介護保険について

*1)特定疾病は、がん(末期)や初老期における認知症、パーキンソン病や脳血管疾患などがある

 介護保険は強制加入とお伝えしましたが、日本に住民登録のない海外赴任者や在留期間3ヵ月以下の外国人などは「介護保険適用除外等該当届」を届け出ることで、介護保険の適用除外となります。
 つまり、医療保険料に含まれる介護保険分の納付が不要となるのです。

 ちなみに――
 北日本ケアサポートスタッフAの友人は海外企業に勤めているため、介護保険料は納めていません。もし、友人が生活拠点を日本へ戻した場合は「介護保険適用除外非該当届」を提出すると、再び介護保険料の徴収が始まります。

2025年問題と介護業界のこれから


 いきなりですが……、皆さんは「2025年問題」という社会問題をご存じでしょうか?
 約800万人いる団塊の世代と呼ばれる方々すべてが後期高齢者(75歳以上)となるのが、2025年なのです。
 結果、後期高齢者を支える社会保障(医療や介護など)が限界に達すると言われています。

 少子化に加え、労働人口が減少し、税収も減るとどうなるか?
 介護業界に言及すれば、人材不足が加速し、さらなる公費負担の見直しが行われるはずです。
 これは単純に、介護報酬が減る・利用者負担が増える、という問題だけではなく、日本の国力そのものの衰退を招きかねないのです。

 では介護事業所としては、どうすれば良いのでしょうか?
 介護人材の離職理由には「労働環境、雇用管理のあり方」というものが上位にあるそうです。
 ということは、事務負担の軽減などの離職理由を解消していけば、離職を防げる可能性が出てきますよね。


 冒頭でもお伝えしましたが、弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連への請求事務を代行する会社です。
 それだけではなく、実際に介護事業所を運営しておりますので、その経験を基に然るべき対策についてレクチャーを行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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《 記事原案者 》
鷲尾 和巳 鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶
北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者
 
《 記事加筆編集者 》
北日本ケアサポートスタッフ 北日本ケアサポートスタッフ:A
介護事務管理士 資格保持者