【介護保険制度の基礎知識】介護サービス事業者に支払われる介護報酬の財源は、どのような仕組みになっているかを解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
弊社は、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社です。
介護サービス事業所を立ち上げにあたり、介護報酬の仕組み……特に財源は把握しておいたほうが良い基礎知識です。
そこで今回は、介護報酬の財源について解説していきます。
*この内容は令和6年度現在のものです。法改正等によりサービスの統廃合・内容変更の可能性があります
・介護サービス事業者の財源は?
介護サービス事業者は、提供した介護保険サービスの対価として支払われる介護報酬を受け取ります。
介護報酬の内訳は、保険者(市町村)から9割・介護サービス利用者から1割(原則)です。
保険者への介護報酬の請求は、国民健康保険団体連合会……いわゆる国保連を通して行います。*介護サービス事業所では、介護報酬請求のことを「介護保険請求」と言っている所が多いようです
介護サービス事業者からの請求に対し、保険者は介護給付費を支払いますが、その財源割合は以下の通りです。
*保険料の割合は人口比率により変わり、上記は令和3年度~5年度の設定 |
保険者が市町村であるため、都市部と地方部で介護保険料額に差が生じます。
なぜなら、各市町村の財政状況が、その地域の経済的背景や人口動態(*)に影響されやすいためです。
*人口動態:ある一定期間の出生・死亡・婚姻・離婚・移転などの人口変動のこと
もう少し具体的に、介護保険料の地域格差を解説します。
・介護保険料の地域格差は、なぜ起きる?
65歳以上の介護保険料は、各地方自治体で決定する基準額と保険料率によって計算します。
基準額 | 地域の高齢者人口や要介護者数、サービスに要する費用などを基に算出 |
保険料率 | 本人および世帯の市町村民税の課税状況や合計所得金額などにより設定 |
65歳以上の介護保険料ですが、都市部だから安い、地方部だから高いというわけではありません。
令和6年5月14日に厚生労働省から公表された第9期第一号保険料(保険者別)の基準額を比較してみましょう。
保険者 | 第8期保険料基準額 (月額) |
第9期保険料基準額 (月額) |
保険料基準額 の伸び率 |
要介護認定率 *令和5年12月末時点 |
大阪府大阪市 | 8,094 | 9,249 | 14.3% | 27.4% |
東京都小笠原村 | 3,374 | 3,374 | 0.0% | 18.6% |
長野県天龍村 | 5,000 | 7,500 | 50.0% | 28.8% |
熊本県高森町 | 7,300 | 5,000 | -31.5% | 18.4% |
*厚生労働省:第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について |
大阪市は保険料基準額が最も高い地域で、小笠原村が最も低い地域です。
保険料基準額の伸び率を見ると、天龍村が最も高く、高森町が最も低い地域です。
保険料基準額の変動の要因を安易に推測できませんが、人口密度やインフラ、介護サービスの需要の多さ、介護職員が確保できるかどうかなども影響しているのではないでしょうか?
また、保険料が高いから悪い、安いから良いとも一概には言えません。
介護サービスが充実していれば、必然的に保険料は高くなります。逆に、必要とされる介護サービスが提供できない場合は、保険料が抑えられます。
どちらにせよ、超高齢化社会の今、介護サービス事業者が担う役割は重要ではないかと思うのです。
・介護サービスによって異なる財源構成
冒頭の図で示した通り、介護給付費は介護保険料と公費の割合が5:5です。そのうちの公費の負担割合は、国25%、都道府県12.5%、市町村12.5%です。
しかし、介護保険施設や特定施設といった施設サービスの負担割合は、国20%、都道府県17.5%、市町村12.5%と変わります。
都道府県の負担割合が多くなっている理由は、施設サービスの指定・監督権者が都道府県であるためです。
また地域支援事業の包括支援事業と任意事業は、以下のように8割近くが公費でまかなわれます。
*厚生労働省:介護保険制度をめぐる最近の動向について(令和4年3月24日公表)より |
ですが、地域支援事業の介護予防・日常生活サービス事業は、介護給付費と同じ割合となり、国保連への介護報酬請求が発生します。
冒頭でもお伝えしましたが、弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連への請求事務を代行する会社です。
それだけではなく、実際に介護事業所を運営しておりますので、その経験を基に然るべき対策についてレクチャーを行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
《 記事原案者 》 | |
鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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《 記事加筆編集者 》 | |
北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |