【介護保険制度の基礎知識】要支援者が対象となる介護予防に関するサービスの具体的な内容を解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
弊社は、介護事業所や障がい福祉事業所の介護報酬(介護レセプト)の請求事務を代行する会社です。
前回は介護サービスの種類について、大まかに解説しました。
今回は要支援者が対象となる『 介護予防サービス・介護予防支援・地域支援事業について 』を詳しく解説します。
前回はこちら→介護サービスの種類とは? 介護保険で 利用できるサービスについて解説
*この内容は令和6年度現在のものです。法改正等によりサービスの統廃合・内容変更の可能性があります
・介護予防サービスとは?
要支援認定を受けた方が対象となる介護保険サービスです。
訪問・通所・短期入所などのサービスがあり、各サービスの具体的な解説をします。
訪問サービス
《 介護予防訪問入浴介護 》 |
自宅の浴槽で入浴が困難な方に対して、専用の浴槽を積んだ入浴車で利用者の自宅を訪問し、看護職員や介護職員が入浴の介護を行うサービス 全身浴・部分浴・清拭、体温・血圧・脈拍などの測定、更衣の介護が受けられる |
要介護者が受けられる訪問介護サービスでは『入浴介助』も行われます。この入浴介助と訪問入浴介護との違いは、自宅の浴槽を使うか使わないかが大きな違いと言えます。
また、介護予防訪問入浴介護は、看護職員1人と介護職員1人がサービスを行います。
*事業所により、介護職員2人で対応する場合もあります
《 介護予防訪問看護 》 |
医師の指示に基づき、看護職員や理学療法士などが利用者の自宅を訪問し、健康チェックや療養上の世話または必要な診療の補助を行うサービス |
食事や排せつのケア、医療的なケアだけではなく、家族の悩み相談、かかりつけ医との連絡・調整などのサービスを行います。
《 介護予防訪問リハビリテーション 》 |
医師の指示に基づき、理学療法士や作業療法士などが利用者の自宅を訪問し、日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを行うサービス |
身体機能・日常生活動作訓練・福祉用具や住宅改修の助言などのサービスを行います。
《 介護予防居宅療養管理指導 》 |
在宅で療養しており、通院が困難な利用者へ医師・歯科医・薬剤師などが自宅へ訪問し、療養上の管理や指導、助言などを行うサービス |
通所サービス
《 介護予防通所リハビリテーション(デイケア) 》 |
介護老人保健施設や診療所、病院において、日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図るサービス |
自宅で受ける介護予防訪問リハビリテーションと違い、利用者が病院などへ行って受けるサービスです。
短期入所サービス
通常、要支援認定者は、特別養護老人ホームなどの施設サービスを受けられません。ただし、短期間の入所は可能です。
《 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ) 》 |
食事や入浴、排せつの介護、機能訓練(リハビリテーション)などを行うサービス |
《 介護予防短期入所療養介護 》 |
医師や看護職員、理学療法士などによる医療や機能訓練、日常生活上の支援などを行うサービス |
これらのサービスは、利用者家族にとって介護負担の軽減を図ることができます。また、利用者家族の病気や冠婚葬祭、一時的に在宅介護が困難な場合にも役立つサービスです。
その他サービス
《 介護予防特定施設入居者生活介護 》 |
介護保険の指定を受けた介護付き有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが、入居している利用者に対して日常生活上の支援を行うサービス |
上記の施設は『自宅(居宅)』に分類され、厚生労働省が定める施設サービスとは異なります。
介護保険の指定を受けた住宅施設であれば、そこに住んでいる利用者に対して行った既定のサービスは介護報酬の算定ができます。
地域密着型介護予防サービス
地域密着型介護予防サービスは、原則としてその市町村の住民以外は利用できません。
《 介護予防認知症対応型通所介護 》 |
老人デイサービスセンターなどにおいて、通所してきた軽度の認知症の利用者に対して、入浴や排せつ、食事の介護や機能訓練などを行うサービス |
要支援認定者のなかでも、認知症の症状がある方が対象となる日帰りデイサービスです。
《 介護予防認知症型共同生活介護 》 |
認知症の高齢者が共同で生活する居住において、入浴や排せつ、食事の介護や機能訓練などを行うサービス |
このサービスは、認知症の症状がある要支援2の認定を受けた方のみが利用できるサービスです。
《 介護予防小規模多機能型居宅介護 》 |
通いによるサービスを中心とし、利用者の希望に応じて訪問や宿泊を組み合わせ、入浴や排せつ、食事などの介護、機能訓練などを行うサービス |
・介護予防支援とは?
言葉だけを見ると、介護予防サービスと介護予防支援は種類が異なるサービスのように感じられます。ですが、介護予防支援は、介護予防サービスの中にあるサービスのひとつです。
介護サービスでいうところの『居宅介護支援』とほぼ同じサービスを担っています。
介護予防支援は、要支援認定者が自宅で介護予防のサービスを適切に利用できるよう、ケアプラン(介護予防サービス計画)の作成、サービス事業所との連絡・調整などを行います。
また介護予防支援は、地域包括支援センター(介護予防支援事務所)のケアマネジャーが行っていますが、居宅介護支援事業所に業務委託している場合もあります。
・地域支援事業とは?
要支援認定者と二次予防事業対象者、一般高齢者を対象とする介護予防事業です。
*二次予防事業対象者 → 要支援・要介護状態になるの高い状態にあると認められる65歳以上の人のこと
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)
総合事業は各市町村の判断によって実施される事業で、以下の2つに分類されます。
《 介護予防・生活支援サービス事業 》 |
要支援者や二次予防事業対象者、継続利用要介護者に対し、訪問型サービスや通所型サービスなどの身体介護や生活支援を提供する |
*継続利用要介護者 → 総合事業の利用していたが要介護になった人のこと。その後も、補助により実施されるサ―ビスは利用が可能 |
総合事業の介護予防・生活支援サービス事業は、国保連への介護報酬請求が発生します。
《 一般介護予防事業 》 |
65歳以上のすべての高齢者を対象に、介護予防に関する情報提供や健康教育、地域での介護予防プログラムなどを行う |
包括支援事業
地域包括支援センターが中心となり、介護予防支援と並行して、健康問題や生活上の問題に対し包括的・計画的な支援を提供します。
《 総合相談支援業務 》 |
高齢者やその家族からの相談により、必要な支援を把握し、適切なサービスや機関、制度などの利用につなげる支援を行う。それとともに、地域の関係機関とのネットワーク構築を図る |
《 権利擁護業務 》 |
権利擁護の視点に基づき、成年後見制度の利用支援や高齢者虐待防止、消費者被害防止のために、関係機関との連携・協力に努める。それとともに、必要な知識の啓発などを行う |
《 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務 》 |
個々の高齢者の状況に応じ、さまざまな支援を組み合わせ、継続的にフォローアップするために医療機関やケアマネジャーとの連携、地域を基盤とした住宅と施設の連携を図り支援体制を構築する |
任意事業
地域の実情に応じ、市町村の裁量で提供するサービスです。
例えば、高齢者の社会参加促進や介護予防活動、1人暮らしや認知症高齢者などの特定の高齢者に向けた支援サービスを提供します。
いかがでしたか? これらのサービス以外にも、福祉用具貸与や特定介護予防福祉用具販売、介護予防住宅改修も介護保険の対象となるものがあります。
介護保険の対象となるサービスを利用者が受けると、そのサービスを提供した事業所はその費用の原則9割を国保連へ請求し、残りの金額を利用者へと請求します。
冒頭でもお伝えしましたが、 弊社北日本ケアサポートは、介護保険(レセプト業務)の国保連への請求事務を代行する会社です。
それだけではなく、実際に介護事業所を運営しておりますので、その経験を基に然るべき対策についてレクチャーを行うコンサルティングなど、事業の成長を幅広くサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
《 記事原案者 》 | |
鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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《 記事加筆編集者 》 | |
北日本ケアサポートスタッフ:A 介護事務管理士 資格保持者 |