介護保険制度とは? 基礎知識をわかりやすく解説! ― 介護保険基本編 ―
『図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本』

 こんにちは! 北日本ケアサポートです。

 介護事業所のみなさんは、介護保険制度の知識が豊富にあると思います。
 ですが、利用者さんやそのご家族で、介護保険の制度をしっかり理解している方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか?
 ただでさえ複雑な介護保険制度を、利用者さんやご家族へわかりやすく説明することは、なかなか大変ではないかと思います。

手の上にあるハートの十字

 今回は、介護保険の基本知識を分かりやすく説明している『図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本』をご紹介したいと思います。
 この本はその名の通り、介護保険の基本的な知識を図解で説明しています。
 利用者さんやご家族への説明に、この本を利用すると大変わかりやすいのではないかと思いました。

 そこで『図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本』をご紹介しつつ、あらためて介護保険についてお伝えしたいと思います。

介護保険証(介護保険被保険者証)を呈示するだけでは、介護サービスは受けられない

 医療保険の健康保険証(健康保険被保険者証)は、病院などの窓口に呈示するだけで使えます。
 しかし、介護保険証(介護保険被保険者証)の使い方は、医療保険とは異なります。

 介護保険証は、65歳になると市区町村から郵送されてきます。
 その後、介護サービスを受けるためには、自分たちで申請をしなければなりません。申請先は市区町村となります。

 ちなみに……介護保険制度の保険者(=保険制度を運営する主体となる組織・団体のこと)市区町村です。これは、国が一律に決定するのではなく、地域ごとの環境や習慣、経済等に合わせた行政を行うという地方分権の考えに沿ったものです。

 介護サービスは、認知症の方を対象としたサービスや介護予防のためのサービス、急な病気やケガでも対応してくれるなど、さまざまなサービスがあります。
 自分やご家族が介護サービスを利用できるか分からない場合、居住地の市区町村の担当窓口や、全国に5,000カ所以上ある地域包括支援センターに相談してみてください。

指のおばあさんとおじいさん

介護サービスが開始されるまでの流れ

 介護サービスが開始されるまでの流れを、『図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本』では以下のように説明しています。

1

【 手続きを進める中心となる人を、家族や親族から決める 】
→ 書類の記載や提出があるため、利用者ご本人よりもご家族や親族のほうがスムーズかもしれません。また、そのような方を見つけるのが難しい場合、地域包括支援センターに相談すると、ご本人の代理として市区町村に要介護認定の申請をしてもらえます。

2

【 居住している市区町村へ、要介護認定を申請する 】
→ この申請書類には『主治医』を記入する欄があります。これは、市区町村が医学的な見解を「意見書」として主治医に提出依頼するためです。そのため、かかりつけ医に前もって、その旨を頼んでおきます。

3 【 市区町村からの訪問調査を受ける 】
→ どの程度の介護サービスが必要か、調査員が確認するために自宅(また施設や病院)へやって来ます。調査員は、家族立ち合いのもと、聞き取り調査をしつつ、本人の状態を確認します。

4

【 市区町村から、要介護認定が記された認定通知書が届く
→ 要介護認定を申請してから約30日後に、認定通知書と窓口に提出した介護保険証が郵送されてきます。戻ってきた介護保険証には、要介護度や認定の有効期間が記載されています。また介護サービスは、要介護度別に1カ月当たりの支給限度額が決まっているため、その範囲内でケアプランが立てられます。
5 ケアマネジャーと契約する
→ 要介護の場合、決定通知書と一緒に居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが所属している)のリストが送られてくることがほとんどです。その中からケアマネジャーを選び、自分たちで契約します。
 要介護で介護保険施設へ入所する場合は、その施設にケアマネジャーがいるので探す必要はありません。

 要支援の場合は、地域包括支援センターにケアプランの作成を依頼します。
6 ケアプランを作成する
→ ケアマネジャーは、本人や家族の要望を聞き、支給限度額や利用できるサービスに基づきながらケアプラン(原案)を作成します。その原案を、本人や家族、主治医らと検討し(=サービス担当者会議)、最終的にケアプランを完成させます。
7 介護サービスを提供するサービス事業所と契約する
→ 介護保険は公的な制度ですが、サービス事業所は民間会社がほとんどです。そのため、サービス事業所を自由に選ぶこともできます。迷うことや不安なことがあれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。

 これらの流れを経て、いよいよ介護サービスが開始されます。

 この本では、各流れの詳しい解説はもちろん、利用者さんやご家族のためのアドバイスやチェックポイントなどが丁寧に書かれていました。
 私は介護保険の請求代行のお仕事をしているため、介護保険についての知識はあります。ですが、利用者さんやご家族が実際に利用する際の注意点など、理解していない部分もありましたのでとても勉強になりました。

 次回は『図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本』の中から、介護保険料などお金に関する内容をご紹介したいと思います。

 以上、北日本ケアサポートでした♪
 *この記事は2020年8月10日投稿の内容を改変しています

*次回はこちら→介護保険制度とは? 基礎知識をわかりやすく解説!― 介護保険料・自己負担編 ―

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