成長分野とはいえ、今後競争の激化は必至であり、介護ビジネスにはしっかりとした理念や戦略が必要です。
理念とはどういうものでしょうか?広辞苑委は「根底にある基本的な考え方」とあります。
事業を行う上で「理念」は重要です。なぜ重要かと言えば、法人の方向性は「理念」に基づいて定めていくからです。
理念が職員に浸透していなければ同じ方向性は持てません。
介護事業を行う法人では「法人の理念」と職員の「介護に対する想い」に相違があることがあります。
その理念の相違や理解が不足していることが、離職率が高い原因のひとつでもあります。
理念が無くては戦略を立ててもうまく進むことは難しいものです
理念を構築する方法
各法人が持っている理念は素晴らしいものです。
しかし、介護事業所の理念というと、ありきたりで浸透していないことが多い、というのが現状です。
理念には様々な解釈があります。
簡単に言えば「法人の存在理由」と「何を目的にしているか?」という2点です。
どの法人にも設立した動機が存在しています。
その動機、理由を明確にし、その時に感じた使命感などを盛り込むことが大切です。
そして、それを周知して理解してもらい、共感してもらうことが重要です。
そしてその理念に基づいた戦略も必要がなります。
戦略を考える
戦略というと介護事業ではあまり聞きなれない言葉であり、介護業界の方は違和感を覚えるかもしれません。
今後、ますます介護事業所の競争や、利用者のニーズの高まりは増してきます。
しっかりとした経営戦略を時代に合わせて構築していく必要があります。
戦略については有名な「孫子の兵法」を紹介します。
孫子は、「己を知り、敵を知れば、百戦危うからず」と言っています。
介護事業所の経営に即して考えると、自社の強み、弱みを知るということです。
自社はどのサービスで優位に立っているか、どの介護度の利用者に対してニーズが高いかということになります。
弱者=兵力の小さい軍隊→地域の介護事業所
強者=兵力の大きい軍隊→多角展開している介護事業所
孫子は、弱者が強者に勝つ戦法を3つ挙げています(ランチェスター経営とも呼ばれます)。
①集中戦法・・・中小の介護事業所は、大手と同じ土俵で戦わず、特定の介護サービスの分野でのみ戦う。人材等のリソースを一点集中させる戦法
②少数精鋭戦法・・・新サービスの開発、周知等であれば、少数のスキルの高いスタッフを集めて、業務を進める戦法
③奇襲戦法・・・他社と同じようなサービスを提供するのではなく、他社にない特長のあるサービスを構築し周知する戦法