要介護認定と住所地特例では何が変わりましたか?

有効期間が延長され、手続きが簡素化されました。

 2018年度の制度改正では、要介護認定の更新認定の有効期間がさらに延長されました。要介護認定後1年以上経過した利用者の4割から5割が要介護度が不変である状況を踏まえて、認定事務業務による負担を軽減するため更新認定有効期間の上限が36か月に延長されたのです。

 同様に、認定調査の内容が長期にわたり変化していない要介護者(状態安定者)については、二次判定の手続きを簡素化できるようにしています。これは、審査会が同席する二次判定の運営・調整業務にかかる時間を短くできれば、要介護認定における業務負担を減らすことが出来るからです。

 

提要除外施設からの以降の住所特例が見直されました。

 障害福祉制度や生活保護制度では、障害者支援施設や救護施設への入所によって居住地を変更した場合、変更前の市町村が入所費用を負担する仕組みがあります。これが住所地特例です。一方で、現行の介護保険制度では、他市町村から介護保険の適用除外施設(障害者支援施設等)に入所したものが退所して、介護保険施設などに移った場合、適用除外施設所在市町村が保険者となっていました。しかしそれでは、介護保険適用除外施設の負担が重くなってしまいます。そのため2018年度の制度改正では、住所地特例を見直して、変更前の市町村が介護給付費を負担する仕組みに変更されました。

 

介護納付金と交付基準では何が変わりましたか?

介護納付金に総報酬割が導入されました。

 介護保険制度の保険料は、第1号被保険者と第2号被保険者が負担しています。このうち第2号被保険者の介護保険料は、医療保険者が徴収し、介護納付金として社会保険診療報酬支払基金に一括納付しています。これまで介護納付金の負担額は、医療保険者ごとの第2号被保険者の総報酬に比例して負担する仕組みに変更されました。これが介護納付金における総報酬割です。ただし大きな制度変更のため、完全導入は2020年度の予定となってます。

 

調整交付金の交付基準が見直される模様です。

 介護保険事業では、国庫負担金25%のうち5%分を用いて、市町村間の財政力の差を調整しています。この調整分は調整交付金と呼ばれます。調整交付金の交付準備はこれまで、後期高齢者比率と被保険者の所得水準で決められてきました。これは、後期高齢者は要介護認定を受ける割合が多く、高齢者の所得水準の低い市町村では同じ所得でも保険料が高くなるためです。しかし近年、高齢者増加に伴って、こうした調整でも十分とは言えなくなっています。そのため今後は、特に年齢が高い高齢者の分布をきめ細かく反映させるため、従来の6574歳と75歳以上の2区分から、6574歳と7584歳、85歳以上の3区分に変更される模様です。