ヒヤリハットや事故報告を現場改善につなげるリスクマネジメントの考え方と、継続的な組織改善のポイントを解説
こんにちは! 北日本ケアサポートです。
介護保険サービスの基本理念は『高齢者本人の自立支援、尊厳の保持、自己決定の尊重を実現し、利用者のQOL(=生活の質)の向上を目指す』とされています。
利用者の自立した生活を支える介護では、事故のリスクを完全にゼロにすることは現実的ではありません。
だからといって、事故を恐れるあまり利用者の活動を過度に制限してしまうと、介護保険サービスの基本理念に反する支援となるおそれがあります。
そこで重要となるのが介護事業所におけるリスクマネジメントです。
リスクマネジメントの体制は利用者が安心して介護サービスを受けられるだけではなく、介護スタッフが安心して働くためのものでもあります。
では介護事業所は、どのように運営していけばよいのでしょうか?

・介護事故には「防ぐことが難しい事故」と「対策を取り得る事故」がある
| ①防ぐことが難しい事故 |
| 利用者の活動に伴う事故や機能低下による事故を指す 日常生活でも起こりうるものであり、防ぐことが難しい場合がほとんど |
| ②対策を取り得る事故 |
| やるべきことをやれば防げる事故を指す 介護事業所としては、この事故の未然防止と再発防止に取り組む必要がある |
この2種類の事故は、単純に仕分けできません。
例えば、介護施設内における『転倒』や『誤嚥』が必ずしも介護施設による過失とはならない過去の裁判例もあります。
しかし「防ぐことが難しいから仕方がない」ではなく、防ぐことが難しい事故が発生しうることを利用者本人と家族に対し十分に説明し、理解を求めることも介護事業所の重要な役割です。
・ヒヤリハットの重要性
ヒヤリハットとは、危険な事態が発生したものの、幸い大きな事故には至らなかった事象のことです。
ヒヤリハットの説明でよく使われるのが『ハインリッヒの法則』というものです。
簡単に説明すると、1件の重大事故の背後には小さな事故が数十件起こっており、さらにその背後には数百件のヒヤリハットが起こっている、という考え方です。
つまり、重大な事故が起こるずっと前から、ヒヤリハット(危うい事象)が頻繁に起こっていたと考えられます。
そして、ヒヤリハットの時点で何らかの対策を取っていれば、重大な事故が起こらなかった可能性が高いのです。
介護事業所では、発生した事故に限らず、事故には至らなかったが「少し気になる」程度のささいなものを含むヒヤリハット事例を介護スタッフから報告してもらう仕組みを構築することが重要です。
ですが、介護スタッフ自身は責任追及されるのではないかという意識が働き、報告を避けてしまうかもしれません。
そのため、ヒヤリハット事例や事故報告が事故防止にとって貴重な情報であることを介護スタッフに理解してもらわなければいけません。
その理解を得るためには、介護事業所の理念・指針を明確に示す必要があります。

・ヒヤリハットと介護事故の管理と活用(PDCAサイクル)
PDCAサイクルとはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の頭文字を取ったもので、継続的に品質を管理するためのフレームワークを指します。
介護では事故予防の取組を個々の利用者ごとと施設全体とに分け、PDCAサイクルで回していきます。
そうすることで、リスクマネジメント強化のための改善活動につながります。
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事故の予防は、ヒヤリハットや事故報告から得た情報をもとに改善→実行→有効性を確認→改善……と常にアップデートしていく必要があります。
また、ヒヤリハットや事故報告の情報を管理・集計しておくことで、事故の傾向の変化を確認もできます。
・介護サービスでの事故防止のための課題
厚生労働省令等では、指定介護保険事業者は、介護サービス提供中等に事故が発生した場合、市町村、利用者の家族などに連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないと規定されています。
いわゆる『事故報告書』の提出義務です。この事故報告書は「再発防止策」についても具体的に記載します。
※参考:厚生労働省『介護保険施設等における事故の報告様式等について(通知)』
このことからも事故予防策について、日ごろから意識しておかなければならないことが分かります。
利用者にとっても働く介護スタッフにとっても重要な事故予防の取組ですが、一方では以下のようなデータがあります。
| 令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査) (2) 介護保険施設のリスクマネジメントに関する調査研究事業報告書 |
| 介護事故防止のための施設の課題は「人手不足により利用者の安全確保が難しい」が 39.6%、「業務多忙のため組織的な対策を検討する時間が確保できない」が 38.7%であった。 |
このアンケートは特養・老健・介護医療院の介護施設に対して行われたものですが、ほかの介護サービスでも共通する内容ではないでしょうか。
ちなみに、このアンケートで『課題はない』と答えた施設は全体で3.8%しかありませんでした。
また、「介護事故発生のための指針が現場に浸透していない」が28.2%、「介護事故発生に関するマニュアルの記載内容が現場に浸透していない」が30.2%であることも、人手不足や業務多忙によるものではないかと推察できます。

多くの介護事業所では、事故防止の重要性を理解し、事故報告書やヒヤリハット報告の仕組みを整えています。
しかし、人手不足や日々の業務に追われる中で、収集した情報を分析し、再発防止策の検討や改善活動まで十分に取り組めていない事業所も少なくありません。
その結果、事故報告書が「提出して終わり」の書類となり、現場改善に十分活用されないケースも見受けられます。
介護事故の防止は、マニュアルを整備するだけでは実現できません。
職員が安心して報告できる職場環境や、情報を共有・分析し、継続的に改善へつなげる仕組みづくりが重要です。
「事故報告書は作成しているものの改善につながらない」「業務が多忙で事故防止の取組まで手が回らない」といった課題は、現場だけで解決策を見つけることが難しい場合もあります。
そのようなときは、外部の専門家が客観的に業務フローや運営体制を確認することで、現場では気付きにくい課題や改善点が明らかになることもあります。
リスクマネジメントは、一度仕組みを整えれば終わりではなく、現場の状況に合わせて継続的に見直していくことが重要です。
そのためには、日々の業務を客観的に振り返り、必要に応じて改善していく体制づくりが欠かせません。
北日本ケアサポートでは、介護報酬請求(介護レセプト)事務の代行をはじめ、現場負担の軽減や事業所運営の業務改善を通じて、介護事業所が継続的にリスクマネジメントへ取り組める体制づくりをサポートしています。
「現場負担を見直し、働きやすい職場環境をつくりたい」
「職員が安心して働ける体制を整えたい」
「請求業務を効率化し、現場負担を減らしたい」
このようなお悩みがございましたら、北日本ケアサポート公式サイトよりお気軽にお問い合わせください。
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鷲尾 和巳(わしお かずみ) → 代表ご挨拶 北日本ケアサポート 株式会社 代表取締役 / 特定非営利活動法人 はなうた 理事長 / 一般社団法人 日本介護協会 理事 / 介護事務管理士 資格保持者 |
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